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ファラデーの伝(愛知敬一)のあらすじ・登場人物

丁稚から身を起こした学者

愛知敬一 1923年(大正12年)5月 「書き下ろし」

文字数
77,437字
読了目安
約2時間35分
表記
新字新仮名

この作品について

偉人伝といえばナポレオンやアレキサンドロスばかりで学者のものはほとんど無い——そう憂えた物理学者・愛知敬一が、製本屋の丁稚から身を起こして電磁気学を築いたマイケル・ファラデーの生涯を、残された手帳や実験日記に即して丹念にたどった伝記。学界では家柄も情実も力を持たず腕一本でやれるのだということを示したい、という著者の願いが全篇を貫いている。

あらすじ

偉人の伝記というとナポレオンやアレキサンドロス、グラッドストーンばかりで、学者のものはほとんど無いと言ってよい。なるほど英雄の伝記は雄であり壮であるが、いつの世にもナポレオンが出るわけではなく、文化の進まない時代の物語として読むには適していても修養の料にはならない。これに反して科学者や哲学者や芸術家は一時代に十人でも二十人でも存在しうるし、多く存在するほど文化は進む。ことに科学は言葉を用いることが少ないため世界的に共通で、日本での発見はそのまま世界の発見である——著者は序でそう説き、科学者たらんとする者のために大科学者の伝記が欲しいと述べる。……数ある科学者のなかからファラデーを選んだ理由は二つある。第一に、彼は大学教育を受けず、全くの丁稚小僧から成り上がった人であること。学界では家柄や情実の力によることがなく、腕一本でやれるということが明らかになると思う、と著者は言う。第二に、彼の製本した本も、筆記した手帳も、実験室での日記も、発見の時に用いた機械も、そして実験室そのものも今日そのまま残っていること。本文は、貧しい鍛冶屋の子として生まれた少年が製本屋に奉公し、綴じる本を読んで科学に目覚め、デーヴィーの講演を筆記して送ったことから王立研究所に職を得るまでを追い、電磁回転、電磁誘導、電気分解の法則、力線の考えへと至る発見の道筋を、当時の記録に即してたどってゆく。巻末には詳細な人名地名索引が付されている。

登場人物

冒頭部(原文より)

序  偉人の伝記というと、ナポレオンとかアレキサンドロスとか、グラッドストーンというようなのばかりで、学者のはほとんど無いと言ってよい。なるほどナポレオンやアレキサンドロスのは、雄であり、壮である。しかし、いつの世にでもナポレオンが出たり、アレキサンドロスの出ずることは出来ない。

「ファラデーの伝」愛知敬一(青空文庫)

末尾部(原文より)

 科学者の中で、特にファラデーを選んだ理由は、第一に彼は大学教育を受けなかった人で、全くの丁稚小僧から成り上ったのだ。学界にでは家柄とか情実とかいうものの力によることがない、腕一本でやれるということが明かになると思う。また立身伝ともいえる。

「ファラデーの伝」愛知敬一(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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