巌頭の感(藤村操)のあらすじ・登場人物
万有の真相は唯一言、曰く不可解
- 文字数
- 154字
- 読了目安
- 約1分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
- 舞台
- 栃木県
この作品について
1903年、第一高等学校の学生・藤村操が日光の華厳滝に身を投じる前、かたわらの楢の木に刻みつけた百数十字の遺書。「万有の真相は唯一言にして悉す。曰く『不可解』」の一句は当時の青年たちに衝撃を与え、「煩悶青年」という言葉を生んだ。日本近代の精神史に刻まれた、最も短い文章の一つである。
あらすじ
「悠々たる哉天壌。遼々たる哉古今」——悠久の天地と、遥かな古今。それに対して、自分はわずか五尺の小さな身体をもって、この大いなるものを測ろうとしている。ホレーショの哲学は、ついに何ほどのオーソリティーを持つというのか。シェイクスピアの「ハムレット」で、ホレーショの知る哲学だけでは説明のつかないことが天地にはあると語られたことを踏まえながら、藤村操はこう書きつける。「万有の真相は唯一言にして悉す。曰く『不可解』」。この世界のすべての真相は、たった一言で言い尽くせる。それは「不可解」ということだ、と。我この恨を懐いて煩悶し、ついに死を決するに至る——だが、いざ巌頭に立ってみると、胸中には何の不安もない。そのとき彼は初めて知ったという。「大なる悲観は大なる楽観に一致するを」。十六歳の一高生が楢の木に刻んだこの百数十字は、当時の青年たちに計り知れない衝撃を与え、華厳滝での後追い自殺が相次ぐという事態を招いた。一高で英語を教えていた夏目漱石をはじめ、多くの文学者がこの死に強い影響を受けている。
冒頭部(原文より)
悠々たる哉天壌。遼々たる哉古今。五尺の小躯を以て此大をはからむとす。ホレーショの哲学竟に何等のオーソリチーを価するものぞ。
「巌頭の感」藤村操(青空文庫)
末尾部(原文より)
万有の真相は唯一言にして悉す。曰く「不可解」。我この恨を懐いて煩悶終に死を決するに至る。既に巌頭に立つに及んで、胸中何等の不安あるなし。始めて知る、大なる悲観は大なる楽観に一致するを。
「巌頭の感」藤村操(青空文庫)
名文
悠々たる哉天壌。遼々たる哉古今。五尺の小躯を以て此大をはからむとす。ホレーショの哲学竟に何等のオーソリチーを価するものぞ。万有の真相は唯一言にして悉す。曰く「不可解」。我この恨を懐いて煩悶終に死を決するに至る。既に巌頭に立つに及んで、胸中何等の不安あるなし。始めて知る、大なる悲観は大なる楽観に一致するを。
1903年、華厳の滝に身を投げた一高生・藤村操が、傍らの木に書き残した遺書の全文。人生を「不可解」の一語で言い切った文面は大きな反響を呼び、明治の青年の煩悶を象徴する言葉となった。
原文を読む
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