季節の馬車(佐藤惣之助)のあらすじ・登場人物
海洋詩へ向かう過渡の詩集
- 文字数
- 15,951字
- 読了目安
- 約32分
- 表記
- 旧字旧仮名
この作品について
佐藤惣之助の詩集。1922年(大正11)7月刊。巻頭に「飛雄する東部亜細亜人の為めに」と題する宣言があり、新しい日本の海洋的・民族的な詩を書くという意気込みが記される。「荒野の娘」から次の『海洋詩集』への過渡の淡彩な作品群と、作者自身が位置づけた。
あらすじ
巻頭の宣言は、東半球の太平洋の芸術家として、青々とした若い日本人として、新しい神々と民族の史詩や祝祭を書こうと呼びかける。本文は短章を並べた軽快な詩集。巻末の言葉で、これらの短章は「荒野の娘」から秋に出版する『海洋詩集』への過渡における春と夏の淡彩な鉛筆画として見てほしい、と述べ、琉球へ漂流的旅行に出発する前日の日付で結ぶ。
冒頭部(原文より)
飛雄する東部亞細亞人の爲めに われわれは今やらなければ駄目だ。東半球の太平洋の藝術家として、青青とした若い日本人として、あたらしい神神と民族との史詩や大きい祝祭の、精神的な戰ひを。そして殊に日本人が「飛雄する東部亞細亞人」のために、南部東洋の島島の娘等のために、又は北部亞細亞大陸の若者のために、まだヨーロツパ人の捉へる事の出來ない大太平洋の波濤のページに、あたらしい豪華な景觀と高遠なる史詩や劇詩を書き、日の出づる美の海洋線を清め、王政復古のやうに、昔の榮華を盛りかへし獨自の艤裝を凝らして世界の港へ出帆しなくてはならない。
「季節の馬車」佐藤惣之助(青空文庫)
末尾部(原文より)
ここに輯めた詩は、こと/″\く最近の作で「華やかな散歩」と「荒野の娘」をかいてから後の、私の變化を語る一つの素描風な短章といつたやうな意味の小曲集である。私は過去の作を再び單行本にすることを好まないと同時に、未來に於て美しく出發せんとする若き人人につれて、たえず私の現在の眞只中から飛躍しよう出帆しようとする者である。私は私の固定を恐れ、定評を嫌ふ。さういふ意味でこの習作的短章も、「荒野の娘」から、この秋に出版する「海洋詩集」への過渡に於ける、春と夏との淡彩な鉛筆畫といふ風に見て頂けば幸ひである。 (琉球へ漂流的旅行に出發する前日。)
「季節の馬車」佐藤惣之助(青空文庫)
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