尾崎放哉の名文
尾崎放哉の作品から、よく知られた一節を集めました。
5件
尾崎放哉選句集
せきをしてもひとり
「咳をしても一人」とも記される自由律俳句の絶唱。わずか九音で、独り病む者の孤独を極限まで研ぎ澄ました。
入れものが無い両手で受ける
何も持たぬまま差し出された両手だけを詠んだ一句。無一物に徹した放哉の暮らしが、そのまま句のかたちになっている。
こんなよい月を一人で見て寝る
独り暮らしの庵で月を眺める句。これほどの月を分かち合う人のいない寂しさと、それでも満ち足りた静けさとが、短い言葉のなかで溶け合う。
墓のうらに廻る
わずか七音の自由律俳句。墓の裏へ回るという何気ない動作だけを示し、死者と向き合う心の動きを読む者に委ねる。
肉がやせて来る太い骨である
病に痩せていく自分の身体を見つめた句。肉が落ちて骨の太さがかえって際立つという即物的な描写に、死を間近にした放哉の冷静なまなざしがある。