不器男句集(芝不器男)のあらすじ・登場人物
流星のように去った俳人の遺句集
- 文字数
- 3,764字
- 読了目安
- 約8分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
二十六歳で世を去った俳人・芝不器男の遺句集。序には、流星のように現れて流星のように去った若き熱情の作家と記される。「永き日のにはとり柵を越えにけり」をはじめ、万葉調を取り入れた静かな気韻の句が収められ、早世の俳人として知られる。
あらすじ
序は、芝不器男君は俳壇に流星のごとく現れて流星のごとく去った若き熱情の作家だと述べ、その熱情は登山家としての魁偉な風貌のうちにも、沈黙と微笑をうち湛えた湖のしづけさを思わせたと記す。東北大学工科在学中に『天の川』に投句を始め、わずか三、四年のあいだに万葉調を取り入れた作品で俳壇の注目を集めたことにも触れる。本文には句が収められ、巻末は「座礁船そのまゝ暁けぬ蜜柑山」「一片のパセリ掃かるゝ暖炉かな」などで閉じる。
冒頭部(原文より)
序 芝不器男君は、俳壇に流星のごとく現はれて流星のごとくに去つた、若き熱情の作家である。 が君の熱情は、登山家としての魁偉なる風に、つねに沈黙と微笑とをうち湛へた湖のしづけさを思はしめた。だからその作品の表現も、うち湛へた湖から白鳥の飛翔したやうな、静寂な気韻が伝はらないものは、君の満足するものではなかつた。この心境は、君のあるいて行つた人生のすべてに於てもさういへるであらう。
「不器男句集」芝不器男(青空文庫)
末尾部(原文より)
大舷の窓被ふある暖炉かな 一片のパセリ掃かるゝ暖炉かな ストーブや黒奴給仕の銭ボタン 不器男句集 畢 (編注――本句集は、宮崎九萬一氏により初版以来の誤りを正し、脱落の六句を補ってある。新しく補った句の末尾には*印を付してある)
「不器男句集」芝不器男(青空文庫)
名文
あなたなる夜雨の葛のあなたかな
芝不器男の代表句。「あなた」の語を重ねて、夜雨にけぶる葛の向こうの遥かな世界を感じさせる。
原文を読む
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