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般若心経講義(高神覚昇)のあらすじ・登場人物

二百六十字を十二回で読む

高神覚昇 1947年(昭和22年)

文字数
105,928字
読了目安
約3時間32分
表記
新字新仮名

この作品について

わずか二百六十余字の般若心経を、十二講にわたって説き明かした仏教入門の名著。もとは昭和九年に東京放送局から流されたラジオ講義で、その平明さと引用の豊かさで大きな反響を呼び、のちに一冊にまとめられて長く読み継がれた。「色即是空」「空即是色」を否定と肯定の二面としてとらえ、因縁の理から説き起こす筋道は明快で、古歌や川柳、西洋の諺までを自在に引きながら、教理をそのまま生活の言葉へ移してみせる。

あらすじ

仏教の根本思想は何かと問われれば「空」の一字に帰する、と著者は序に書く。だがその空は仏教における公開の秘密であって、誰にもわかっているようで誰にもほんとうにはわかっていない。『心経』はそれを「色即是空」と「空即是色」の二方向から説き、否定と肯定、無と有とが弁証法的に統一されている。そしてもう一つ欠かせないのが「因縁」である。心経は因縁について一言も説かないが、因縁を理解しなければ空はわからない。因縁の真理を知らないことが迷いであり、明らめることが悟りである——。……本文は十二講に分かれる。第一講「真理の智慧」では般若すなわち智慧とは何かを問い、第二講「語るより歩む」では維摩の沈黙を引いて実践を説く。第三講「色即是空」、第四講「永遠の生命」では不生不滅の意味を親子の情や辞世の歌に重ねて語り、第五講以降は「空に徹するもの」「因縁に目覚める」「四つの正見」「執著なきこころ」「恐怖なきもの」と進んでゆく。第十講「般若は仏陀の母」、第十一講「真実にして虚からず」を経て、最終の第十二講「開かれたる秘密」では末尾の真言に説き及び、梵語原典との異同にまで触れる。講義を閉じるにあたり著者は、仏教への門は所詮「信」であり、信とは愛し敬うこころだと述べ、合掌と南無の意味を語って結ぶ。

冒頭部(原文より)

序  いったい仏教の根本思想は何であるかということを、最も簡明に説くことは、なかなかむずかしいことではあるが、これを一言にしていえば、「空」の一字に帰するといっていいと思う。だが、その空は、仏教における一種の謎で、いわば公開せる秘密であるということができる。

「般若心経講義」高神覚昇(青空文庫)

末尾部(原文より)

 世に「急いで結婚して、ゆっくり後悔する」という諺もありますが、それはあながち結婚にかぎったことではないのです。いたずらに急ぐ必要もありませんが、しかし、「仏法には明日というべきことあるべからず」と古人も誡めています。いつもいつも、「明日」と約束ばかりしていると、永遠に仏教を味わい、人生のほんとうの意味と価値をあきらめずに死んでゆかねばなりません。すべからく私どもは因縁に随順してすみやかに般若の智慧を磨く事によって、まさしくさとりの世界をハッキリ味得せねばなりません。

「般若心経講義」高神覚昇(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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