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法学とは何か(末弘厳太郎)のあらすじ・登場人物

解釈とは法の創造である

末弘厳太郎 1951年(昭和26年)4月 「法律時報」

文字数
16,703字
読了目安
約33分
表記
新字新仮名

この作品について

「四月は、毎年多数の青年が新たに法学に志してその門に入ってくる月である」——民法・法社会学の泰斗が、入門者のために法学という学問の性格を語った晩年の一文。中学で三角術に苦しんだ自身の経験から説き起こし、法学部の学生の多くが何のために学ぶのかわからぬまま卒業してゆく実情を率直に述べる。解釈は法の創造であるという持論、法哲学と法社会学と実用法学の関係まで見通す最後の素描は、いまも法学入門の古典として読まれる。

あらすじ

入口で学ぼうとする学問の輪郭を知っておくことが学習の能率を上げる——著者はまずそう述べ、中学四年で三角術を教わったとき、先生がその学問の目的を教えずに教科書の内容を教え込もうとしたためにひどく難しく感じられた、という自らの経験を引く。理科や文学部と違い、法学部に入る学生は学ぼうとする学問について常識程度の知識さえ持っていないのが普通である。父が長年司法官であった著者ですら、入学してみると予期したものとは大分違う学問を教えられているようで取っ付きが悪く、当分は五里霧中であった。多くの学生は卒業まで何のために法学を学んでいるのかを呑み込めず、平素はノートを作ることに、試験期にはそれを丸暗記することに苦労していたのが実情である——。……こうした前置きに続いて、著者は法学がどういう学問であるかを説いてゆく。そして最後に自らの考えを素描する。法学の中心をなすのは「実用法学」であり、それは解釈法学と立法学に大別されるが、両者に通じる科学としての本質は法政策学である。解釈法学は法令を形式的に解釈する技術ではなく、個々の具体的事件に妥当する法を創造することを目的とする。表面上は形式的な解釈に見える場合でも、実は法の創造が行われている。さらに実用法学は、一方で法哲学から政策定立の理念と指標を与えられ、他方で法社会学が発見した社会法則から政策実現の方法を教えられる。それは工科の学問と理科、臨床医学と基礎医学の関係に似ている、と著者は言う。

冒頭部(原文より)

一 はしがき  一 四月は、毎年多数の青年が新たに法学に志してその門に入ってくる月である。これらの青年に、法学が学問として一体どういう性質を持つものであるかについて多少の予備知識を与えるのが、この文章の目的である。

「法学とは何か」末弘厳太郎(青空文庫)

末尾部(原文より)

 私は、この科学が、やがて自然科学と同じ程度に実用法学に必要な社会法則を十分提供し得るところまで発達すれば、法学が真に科学の名にふさわしい学問にまで発展し、立法や裁判のごとき法実践が、もっと無駄と無理のない合理的なものになるに違いないと考えている。

「法学とは何か」末弘厳太郎(青空文庫)

原文を読む

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