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後世への最大遺物(内村鑑三)のあらすじ・登場人物

勇ましい高尚なる生涯

内村鑑三 1894年(明治27年)11月

文字数
38,464字
読了目安
約1時間17分
表記
新字新仮名

この作品について

1894年、箱根で開かれたキリスト教徒夏期学校で内村鑑三が行った講演。われわれは何をこの世に残せるか——金、事業、思想と挙げていったすえに、誰にでも残せる「最大遺物」として示されるのが「勇ましい高尚なる生涯」である。若き日の熱をそのまま伝える語り口で、明治以来くり返し読み継がれてきた講演録の古典。

あらすじ

「私に一つの考えがある。それはわれわれが死ぬときに、この世の中に何を遺してゆくか」——三十三歳の内村鑑三は、箱根・芦ノ湖畔の夏期学校でそう問いかける。誰しも、自分が生きた証をこの世に残したいと願う。ではその遺物とは何か。第一に挙げられるのは金である。金を残すことは決して卑しいことではなく、正当に得た富を世のために用いるのは尊い事業だ。第二は事業——鉄道を敷き、荒野を開き、社会を動かす仕事である。第三は思想、すなわち著述であり教育である。内村はそれぞれについて古今の実例を挙げて熱っぽく語る。だが、金を残せる者は限られ、事業をなしうる者も限られ、思想を書き残せる者もまた限られている。では、才能にも財にも恵まれない者は何も残せないのか。そこで内村が示すのが、誰にでも残せる「最大遺物」である。それは「勇ましい高尚なる生涯」——この世は決して悪魔が支配するのではなく、正義がついに勝つのだということを、自分の一生をもって示すことだ。金も事業も思想も残せなくとも、「アノ人はこの世の中に活きているあいだは真面目なる生涯を送った人である」と言われるだけのものを後世に遺したい、と内村は結ぶ。会場は拍手喝采に包まれた。

冒頭部(原文より)

はしがき  この小冊子は、明治二十七年七月相州箱根駅において開設せられしキリスト教徒第六夏期学校において述べし余の講話を、同校委員諸子の承諾を得てここに印刷に附せしものなり。  事、キリスト教と学生とにかんすること多し、しかれどもまた多少一般の人生問題を論究せざるにあらず

「後世への最大遺物」内村鑑三(青空文庫)

末尾部(原文より)

われわれに後世に遺すものは何もなくとも、われわれに後世の人にこれぞというて覚えられるべきものはなにもなくとも、アノ人はこの世の中に活きているあいだは真面目なる生涯を送った人であるといわれるだけのことを後世の人に遺したいと思います。(拍手喝采)

「後世への最大遺物」内村鑑三(青空文庫)

名文

私が考えてみますに人間が後世に遺すことのできる、ソウしてこれは誰にも遺すことのできるところの遺物で、利益ばかりあって害のない遺物がある。それは何であるかならば勇ましい高尚なる生涯であると思います。

箱根の夏期学校で行った講演の結論。金や事業や思想を遺せなくとも、誰もが後世に遺せる最大のものは、勇ましく高尚な生き方だと説く。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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