日本改造法案大綱(北一輝)のあらすじ・登場人物
上海で起草された国家改造案
- 文字数
- 44,596字
- 読了目安
- 約1時間29分
- 表記
- 旧字旧仮名
この作品について
思想家・北一輝が、1919年(大正8年)に上海で起草した国家改造の構想書。謄写版で秘密裡に配られたのち発禁となり、1923年(大正12年)に官憲の削除を受けた形で公刊された。天皇と国民の関係、私有財産の限度、土地の処分、大資本の国家統一、労働者の権利、国民の生活の権利、朝鮮その他の領土の改造方針、国家の権利の八巻から成り、各条に「註」を付けて解説する。漢字片仮名まじりの断定的な文体で書かれ、昭和初期の青年将校らの国家改造運動に大きな影響を与えたことで知られる。本文中の「何行削除」は公刊時の削除の跡である。
あらすじ
凡例で北一輝は、この法案が世界大戦の終わった大正八年八月に上海で起草され、謄写版のまま頒布を禁じられたこと、公刊にあたって官憲が削除した箇所を「何行削除」と示したことを記す。緒言では、日本が内憂外患の国難に臨んでいると述べ、大戦で破壊された欧州が再建を語るなら、日本は改造に進むべきだと説く。本文は八巻から成る。巻一「国民の天皇」では天皇と国民の関係と議会・選挙の改革を、巻二「私有財産限度」では一家の私有財産に上限を設け、超過分を国家に納めさせることを説く。巻三「土地処分三則」では私有地の限度と都市の土地の市有化を、巻四以下では大資本の国家による統一、労働者の権利、国民の生活の権利、朝鮮をはじめとする現在と将来の領土の改造方針、さらに国家の対外的な権利を論じる。各条には短い「註」が付き、ときに結論だけを断定する口調で理由が述べられる。結びでは、来るべき世界の秩序のなかで日本が果たすべき役割を語り、国民は速やかにこの大綱に基づいて国家を改造すべきだと訴える。
冒頭部(原文より)
一。此ノ改造法案ハ世界大戰終了ノ後、大正八年八月上海ニ於テ起草セル者ナリ。「極祕」ヲ印シ謄寫ニ附シテ未ダ公刊ニ至ラザル時、九年一月發賣頒布ヲ禁ゼラル。
「日本改造法案大綱」北一輝(青空文庫)
末尾部(原文より)
日本國民ハ速カニ此ノ日本改造法案大綱ニ基キテ國家ノ政治的經濟的組織ヲ改造シ以テ來ルベキ史上未曾有ノ國難ニ面スベシ。日本ハ亞細亞文明ノ希臘トシテ已ニ強露波斯ヲ「サラミス」ノ海戰ニ碎破シタリ。支那印度七億民ノ覺醒實ニ此ノ時ヲ以テ始マル。戰ナキ平和ハ天國ノ道ニ非ズ。
「日本改造法案大綱」北一輝(青空文庫)
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