お百度詣(大塚楠緒子)のあらすじ・登場人物
国か夫か答えずに泣く
- 文字数
- 139字
- 読了目安
- 約1分
- 表記
- 旧字旧仮名
この作品について
歌人・小説家の大塚楠緒子が日露戦争のさなかの1905年(明治38年)、雑誌「太陽」に発表した新体詩。出征した夫の無事を祈ってお百度を踏む妻の心を、七五調の短い四連でうたう。一足ごとに夫を思い、国を思い、また夫を思う心の揺れを素直に言い表し、国と夫のどちらが重いかと問われれば答えずに泣くだけだと結ぶ。前年に与謝野晶子が発表した「君死にたまふこと勿れ」と並んで、戦争に夫や肉親を送り出した女性の心情をうたった詩として知られる。
あらすじ
戦地にある夫の無事を祈り、妻はお百度参りの道を踏む。一足めには夫を思い、二足めには国を思うけれど、三足めにはまた夫のことを思ってしまう――そんな女心に咎があるだろうか、と妻は問う。朝日に照り映える日本の国は世界にただ一つだが、妻と呼ばれて契りを結んだ夫もこの世にただ一人である。だから、国と夫のどちらが重いかと問われたなら、ただ答えずに泣くほかはない。お百度を踏むこの心に咎があるだろうか、と詩は結ばれる。
冒頭部(原文より)
ひとあし踏みて夫思ひ、 ふたあし國を思へども、 三足ふたゝび夫おもふ、 女心に咎ありや。
「お百度詣」大塚楠緒子(青空文庫)
末尾部(原文より)
かくて御國と我夫と いづれ重しととはれなば たゞ答へずに泣かんのみ お百度まうであゝ咎ありや
「お百度詣」大塚楠緒子(青空文庫)
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。