ダンテの名文

ダンテの作品から、よく知られた一節を集めました。

6件

神曲

永遠の物のほか物として我よりさきに造られしはなし、しかしてわれ永遠に立つ、汝等こゝに入るもの一切の望みを棄てよ

地獄篇第三曲、地獄の門に刻まれた銘文の結び。「一切の望みを棄てよ」の一句は絶望への入口を示す言葉として世界中で引かれ、漱石の『倫敦塔』にもこの銘文が引用されている。

かのごとく酷き海をあとにし、優れる水をはせわたらんとて、今わが才の小舟帆を揚ぐ

浄火篇第一曲の冒頭。地獄という酷い海を後にし、詩才の小舟で穏やかな水へ漕ぎ出す姿に、新たな篇を歌い起こす決意を託す。山川丙三郎訳。

萬物を動かす者の榮光遍く宇宙を貫くといへどもその輝の及ぶこと一部に多く一部に少し

天堂篇第一曲の書き出し。万物を動かす神の栄光が宇宙を貫きつつ、場所によって輝きの度合いが違うと歌い、光の旅を始める。

われ正路を失ひ、人生の覊旅半にあたりてとある暗き林のなかにありき

ダンテ『神曲』地獄篇の冒頭。人生の旅路の半ばで、正しい道を見失い暗い森にいる自分に気づく——地獄の旅の出発点で、文学史上屈指の書き出し。

讀者よ、我に餘白の滿すべきあらば、飮めども飽かざる水の甘さをいさゝかなりともうたはんものを

浄火篇の終わり近くで、詩人が読者に直接語りかける一節。紙幅が尽きたため、飲んでも飽きない水の甘さを歌い尽くせないと嘆く。

日やそのほかのすべての星を動かす愛に。

『神曲』全篇を締めくくる一行。冒頭の「萬物を動かす者」と呼応し、太陽と星々を動かす愛にたどりついて長い旅が結ばれる。

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ダンテ