紀貫之の名文

紀貫之の作品から、よく知られた一節を集めました。

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土佐日記

男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。

男が書くものとされた日記を、女の筆に仮託して書き起こす一文。仮名による日記文学の道を切り開いた、紀貫之の機知がにじむ書き出し。

わすれがたくくちをしきことおほかれどえつくさず。とまれかくまれ疾くやりてむ。

日記の結び。土佐で亡くした娘への思いを書き連ねた末に、「ともかくも早く破ってしまおう」と言い置いて筆を擱く。

うまれしもかへらぬものを我がやどに小松のあるを見るがかなしさ

京の自宅に帰り着いた結びの場面の歌。任地の土佐で亡くした娘は帰らないのに、留守のあいだに庭には小松が育っている——喜ぶべき帰京の日の悲しみを詠む。

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紀貫之