マロの名文

マロの作品から、よく知られた一節を集めました。

4件

家なき子

でも八つの年まではほかの子どもと同じように、母親があると思っていた。それは、わたしが泣けばきっと一人の女が来て、優しくだきしめてくれたからだ。

「わたしは捨て子だった。」の一行に続く、『家なき子』の書き出し。少年ルミの回想は、育ての母のぬくもりの記憶から始まる。

わたしはそれをしたくなかったが、おまえをこごえ死にさせることはできない。さあ、おいで、ルミ。さあ、前へ進め、子どもたち、元気を出せ

厳寒のパリ郊外で、力尽きかけた親方ヴィタリスがルミを励ます言葉。口癖の「前へ進め」が、ここではひときわ重く響く。

他人を教えるものは自分を教えるものだということがこれでわかる。わたしが動物たちに教訓をあたえるのは、同時にわたしがかれらから教訓を受けることになるのだ。わたしはあれらのちえを進めてやったが、あれらはわたしの品性を作ってくれた

犬やさるに辛抱強く芸を仕込む理由をルミに問われた、旅芸人の親方ヴィタリスの答え。ルミの人生の師となる老人の人柄がにじむ。

前へ。世界はわたしの前に開かれた。北でも南でも東でも西でも、自分の行きたいままの方角へわたしは向かって行くことができる。

親方を失ったルミが、自らの足で旅立つ場面。師の口癖「前へ」を受け継ぎ、自分自身の主人として歩き出す。

この作家について

マロ