折口信夫の名文

折口信夫の作品から、よく知られた一節を集めました。

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死者の書

彼の人の眠りは、徐かに覚めて行った。まっ黒い夜の中に、更に冷え圧するものの澱んでいるなかに、目のあいて来るのを、覚えたのである。 した した した。耳に伝うように来るのは、水の垂れる音か。

物語の書き出し。二上山の墓の中で、大津皇子をモデルとする死者が長い眠りから目覚める場面を、「した した した」という水の音から描き起こす、忘れがたい冒頭。

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折口信夫