ロマン・ロランの名文
ロマン・ロランの作品から、よく知られた一節を集めました。
5件
ベートーヴェンの生涯
――もう一度窓を開けよう。広い大気を流れ込ませよう。英雄たちの息吹を吸おうではないか。
ロマン・ロランが初版に付けた序の一節。物質主義に息の詰まる時代に、偉大な魂の息吹を取り込もうと呼びかけ、評伝を書く動機を示す。
私を引き留めたものはただ「芸術」である。自分が使命を自覚している仕事を仕遂げないでこの世を見捨ててはならないように想われたのだ。
聴覚を失いつつあった32歳のベートーヴェンが弟たちに宛てた遺書の一節。絶望の淵で彼を生につなぎとめたのは芸術への使命感だった。
思想もしくは力によって勝った人々を私は英雄とは呼ばない。私が英雄と呼ぶのは心に拠って偉大であった人々だけである。
同じ序の一節。ロランが「英雄」を心の偉大さで定義した言葉で、ベートーヴェンをその最大の一人として描く本書の基調となる。
お前たちの子らに徳性を薦めよ、徳性だけが人間を幸福にするのだ。金銭ではない。
同じ遺書で弟たちに残した言葉。惨めさの中で自分を支えたのは徳性だったと続け、苦難の経験からの確信を語る。
『悩みをつき抜けて歓喜に到れ!』
ベートーヴェンが手紙に記した言葉(Durch Leiden Freude)。ロランはこれを、彼の生涯が煮つめられた誇らしい金言として掲げる。