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どんたく(竹久夢二)のあらすじ・登場人物

少年の日の、いとしき小唄

竹久夢二 1913年(大正2年)

文字数
6,763字
読了目安
約14分
表記
新字旧仮名

この作品について

竹久夢二がみずから絵を添えて編んだ小唄集。「こはわが少年の日のいとしき小唄なり」という献辞のとおり、幼い日に耳にした子守唄や遊び唄の記憶を核に、歌時計、ゆびきり、紡車、人買といった小さな情景を、平仮名を多用した素朴な調べで綴る。「宵待草」で知られる夢二の詩人としての一面をよく伝え、絵と詩が分かちがたく結びついた大正のロマンティシズムを代表する一冊である。

あらすじ

「いまは過ぎし日のおさなきどちにこのひとまきをおくらむ。お花よ、お蝶よ、お駒よ、小春よ。太郎よ、次郎よ、草之助よ」——かつて草笛を聴いてくれた幼なじみたちへの献辞に始まり、詩集は少年の日の記憶をひとつずつ拾い上げていく。夢とうつつのさかいめの白い朝の床で、傍らに母のいないことに気づいて聞く「歌時計」の唄。指をむすんで「マリヤさま ゆめゆめうそはいひませぬ」と誓った幼い日の「ゆびきり」。しろくねむたい春の昼、しずかにめぐる「紡車」からくり出される、しろくかなしい夢の糸。秋のいり日のかわたれどきに、塀の陰からのぞく青頭巾の「人買」——。童謡のような無邪気さと、そのすぐ裏側にある寄る辺なさとが、平仮名の柔らかな連なりのなかで背中合わせになっている。やがて別れのときが来る。「よろこび」と、そして「さよなら」と、ふたりは書いた。

冒頭部(原文より)

こはわが少年の日のいとしき小唄なり。 いまは過ぎし日のおさなきどちにこのひとまきをおくらむ。 お花よ、お蝶よ、お駒よ、小春よ。太郎よ、次郎よ、草之助よ。げに御身たちはわがつたなき草笛の最初のききてなりき。  歌時計 ゆめとうつつのさかひめの ほのかにしろき朝の床。 かたへにははのあらぬとて 歌時計のその唄が なぜこのやうに悲しかろ。

「どんたく」竹久夢二(青空文庫)

末尾部(原文より)

ふたりはかきぬ。 「しらぬこと」 ふたりはかきぬ。 「よろこび」と ふたりはかきぬ。 「さよなら」と。

「どんたく」竹久夢二(青空文庫)

名文

まてどくらせどこぬひとを 宵待草のやるせなさ こよひは月もでぬさうな。

詩集『どんたく』所収の「宵待草」。待っても来ない人を宵待草に重ねた三行の詩は、のちに曲が付けられて大正時代に広く愛唱された。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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