幸福が遅く来たなら(生田春月)のあらすじ・登場人物
遅れて来た幸福は信じない
- 文字数
- 301字
- 読了目安
- 約1分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
生田春月の短い詩。詩集『霊魂の秋』(1917年)に収められた。「あまりに遅く来た幸福」を信じられない孤独な心を、少女に託してうたう。
あらすじ
「『幸福』よ、巷で出逢つた見知らぬ人よ、お前の言葉は私に通じない!」と呼びかける。二十年も遠国をうろついていた幸福は、もはや私の望みにすら忘れられた。よしや許嫁であっても、あまりに遅く来た幸福を誰が信じるものか。私は蒼ざめた貧しい少女の手に眠り、その名を問う。もしや「嘆き」と言わないか。ならば幸福に伝えてほしい、あなたの来るのがあまりに遅いので、もう私はあの人(嘆き)のお嫁になりましたと。
冒頭部(原文より)
『幸福』よ、巷で出逢つた見知らぬ人よ、 お前の言葉は私に通じない! 冷たい冷たいこの顔が、私の求めてゐたものだらうか? お前の顔は不思議な親みのないものに見える、 そんなにお前は廿年、遠国をうろついてたんだ、 お前はもはや私の『望』にさへ忘れてしまはれた!
「幸福が遅く来たなら」生田春月(青空文庫)
末尾部(原文より)
少女よ、どんなにお前は軟かく、枕のやうに 夜毎痛む頭をさゝへてくれるだらう! 少女よ、お前の名前は何と云ふ? もしか『嘆き』と云やせぬか? そんなら行つて『幸福』に言つてくれ、 お前さんの来るのがあんまり遅いので もはや私があの人のお嫁になりましたと!
「幸福が遅く来たなら」生田春月(青空文庫)
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