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象徴の烏賊(生田春月)のあらすじ・登場人物

インクを吐く烏賊の自己防衛

生田春月 1930年(昭和5年)6月

文字数
425字
読了目安
約1分
表記
新字旧仮名

この作品について

生田春月の詩。詩集『象徴の烏賊』に収められた。インクを吐く烏賊、毒をたくわえる蛇、涙で真珠を作る貝など、さまざまな生物を並べ、自己防衛と復讐、苦悩と美を象徴的に歌う。

あらすじ

「或る肉体は、インキによつて充たされてゐる」と始まり、烏賊は自分の存在を隠すために好んでインキを射出するという。次に毒液を蓄える蛇が、至大の恐怖に駆られると噛みついて自らも倒れる。貝は海底に幻怪な宮殿を築き、あらゆる苦悩は重く、利刃に刺された傷口は甘く涙を流す。真珠の涙は清雅な復讐で、金庫に光を失っても美しい夫人の手に輝く。さらに湿地の植物と菌が現れ、「漠雲の中哄笑する、目に見えぬものは神である」で結ぶ。

冒頭部(原文より)

或る肉体は、インキによつて充たされてゐる。 傷つけても、傷つけても、常にインキを流す。 二十年、インキに浸つた魂の貧困! 或る魂は、自らインキにすぎぬことを誇る。 自分の存在を隠蔽せんがために 象徴の烏賊は、好んでインキを射出する。

「象徴の烏賊」生田春月(青空文庫)

末尾部(原文より)

或る植物は、常にじめじめした湿地に生え、 その身をあまりに夥多なる液汁に包む。 深夜、或る暗い空洞から空洞へ注ぎこまれ、 その畸形なる尻尾を振つて游泳する 或る菌はしばしば死と復讐の神である。 漠雲の中哄笑する、目に見えぬものは神である。

「象徴の烏賊」生田春月(青空文庫)

名文

或る肉体は、インキによつて充たされてゐる。 傷つけても、傷つけても、常にインキを流す。 二十年、インキに浸つた魂の貧困! 或る魂は、自らインキにすぎぬことを誇る。 自分の存在を隠蔽せんがために 象徴の烏賊は、好んでインキを射出する。

墨(インキ)を射出する烏賊に象徴を重ねた生田春月の短い詩の冒頭。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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