アプリで読む

無料・登録不要

植物一日一題(牧野富太郎)のあらすじ・登場人物

百日百題、植物談義

牧野富太郎 1953年(昭和28年)

文字数
155,112字
読了目安
約5時間10分
表記
新字新仮名
種別
随筆

この作品について

植物分類学者の牧野富太郎が、1946年(昭和21年)8月17日から一日に一題ずつ百日欠かさず書き継いだ植物の随筆をまとめた本で、序文は1953年(昭和28年)2月に記されている。ジャガイモに「馬鈴薯」の字を当てるのは誤りだと説く冒頭の一編をはじめ、百合とユリ、藤とフジ、アジサイと紫陽花のように、漢名と和名の取り違えを古い本草書を引いて正す話が多い。イチョウの精虫の発見、シーボルトの肖像、小野蘭山の髑髏、万葉歌の植物など話題は幅広く、マグソダケを食べた顛末を詠んだ狂句のような戯れの句も添えられている。

あらすじ

巻頭の「馬鈴薯とジャガイモ」で、牧野は、江戸時代の小野蘭山がジャガタライモを馬鈴薯とした誤りが今日まで通用しているのは日本文化の恥辱だと論じ、馬鈴薯は中国福建の一地方の得体の知れない植物にすぎないと説く。以下、百合とユリ、キャベツと甘藍、藤とフジ、アケビ、アカザとシロザ、キツネノヘダマと続き、漢字の名と日本の名を混同する世の習いを、中国や日本の本草書を引いて一つずつ正していく。高野山の蛇柳の正体、無花果の実のつくり、イチョウの精虫の発見、茶の花序、二十四歳のシーボルトの画像の話もあれば、マグソダケを家族に嫌がられながら一人で食べた顛末を、狂句を連ねて語る一編もある。タデの仲間の見分け方、玉露の由来、贋の菩提樹、ワルナスビ、ハマユウやヒマワリの名の由来、万葉歌のイチシやツチハリ、今のショウブと昔のアヤメ、楓とモミジ、紫陽花とアジサイなど、身近な植物の名と正体をめぐる話題が百編並ぶ。巻末のユズリハの一編のあとに、一日一題を百日続けて書き終えたことを記した「序文に代う」が置かれている。

冒頭部(原文より)

馬鈴薯とジャガイモ  ジャガタライモ、すなわちジャガイモ(Solanum tuberosum L.)を馬鈴薯ではないと明瞭に理解している人は極めて小数で、大抵の人、否な一流の学者でさえも馬鈴薯をジャガイモだと思っているのが普通であるから、この馬鈴薯の文字が都鄙を通じて氾濫している。が、しかしジャガイモに馬鈴薯の文字を用うるのは大変な間違いで、ジャガイモは断じて馬鈴薯そのものではないことは最も明白かつ確乎たる事実である。こんな間違った名を日常平気で使っているのはおろかな話で、これこそ日本文化の恥辱でなくてなんであろう。

「植物一日一題」牧野富太郎(青空文庫)

末尾部(原文より)

一日一題禿筆を呵し、百日百題凡書成る、書成って再閲又三閲、瓦礫の文章菲才を恥ず。 昭和二十一年八月十七日より稿し初め、一日に必ず一題を草し、これを百日欠かさず連綿として続け、終に百日目に百題を了えた。

「植物一日一題」牧野富太郎(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品