麦刈(橋本多佳子)のあらすじ・登場人物
麦畑を訪ねた奈良の一日
- 文字数
- 697字
- 読了目安
- 約1分
- 表記
- 新字旧仮名
- 種別
- 随筆
- 舞台
- 奈良県
この作品について
橋本多佳子が、友人を案内して奈良の新薬師寺から白毫寺村を歩き、麦刈りの人々に出会った一日を描いた短い随筆。自分の昔の句「麦刈が立ちて遠山恋ひにけり」に重ねて、春日山や高円山を望む麦畑の風景、農家とのやりとりが穏やかに語られる。
あらすじ
久しぶりに来た東京の友を案内して、奈良の新薬師寺から白毫寺村の方へ歩くと、麦刈りが盛りで、真青な苗代田があちこちに見える。麦刈の女がつと立ち上がって天を仰ぐように身を伸ばす姿に、多佳子は自分の昔の句を思い出す。山が迫り、その青が黄麦の色と照り合う景色の中で、焦げたように濃い麦と金色の麦があることに気づき、農夫と言葉を交わす。邪魔をしないからと頼み、乾ききった麦の中へ入って刈る様子を見せてもらう。ひらひらと白い蝶が飛び、息子と若嫁も働いている。離れた山際では老爺が地にかがむようにして麦を刈り、ひばりの声がしきりにする。結びは「老麦刈ひばりは絶えず声与へ」の句。
冒頭部(原文より)
久々に来た東京の友を案内して、奈良の新薬師寺から白毫寺村の方へ歩いた。この辺りの麦刈はすこし遅れていま盛んに刈つてゐるところである。真青な苗代田があちらこちらに見える。 麦刈の女の一人がつと立ち上つて、天を仰ぐやうに身を伸した。
「麦刈」橋本多佳子(青空文庫)
末尾部(原文より)
すこし離れた山際に老爺が一人ゐる。近づくと、大地に腰をつけんばかりにかがんで麦を刈つてゐた。ヒバリの声がしきりにする。低い宙で翼をふるはせながら鳴きしきつてゐるのである。老人はその声になぐさめられ、怠らず麦を刈りつづけてゐた。 老麦刈ひばりは絶えず声与へ
「麦刈」橋本多佳子(青空文庫)
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