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天地有情(土井晩翠)のあらすじ・登場人物

「荒城の月」を収める新体詩集

土井晩翠 1899年(明治32年)4月

文字数
21,628字
読了目安
約43分
表記
旧字旧仮名

この作品について

土井晩翠の第一詩集。1899年(明治32)4月刊。島崎藤村の『若菜集』とならぶ明治新体詩の代表作として知られる。漢詩調の力強い七五調で、「荒城の月」「星落秋風五丈原」を収める。序で「詩は国民の精髄なり」と述べ、国民的な詩の誕生を宣言した。

あらすじ

序は「詩は閑人の囈語に非ず、詩は彫虫篆刻の末技に非ず」と、詩の使命を高く掲げ、収録した四十余篇の新旧の作が、まだ幼い新体詩界の一礎石になればと願う。本文には「希望」「鷲」「哀歌」「海棠」「詩人」「夢」「登高」「暮鐘」などの題が並び、最後に「荒城の月」が置かれる。荒れた城の夜半の月は昔と変わらぬ光でいま誰のために照らすのか、と問い、「天上影は変らねど栄枯は移る世の姿」と結ぶ。三国志の英雄諸葛孔明をうたう長篇「星落秋風五丈原」も含まれる。

冒頭部(原文より)

序 「或は人を天上に揚げ或は天を此土に下す」と詩の理想は即是也。詩は閑人の囈語に非ず、詩は彫虫篆刻の末技に非ず。既往數百年間國詩の經歴に關しては余將た何をか曰はん。思ふに所謂新躰詩の世に出でゝより僅に十餘年、今日其穉態笑ふべきは自然の數なり。然れども歳月遷り文運進まば其不完之を將來に必すべからず。詩は國民の精髓なり、大國民にして大詩篇なきもの未だ之あらず。本邦の前途をして多望ならしめば、本邦詩界の前途亦多望ならずんばあらず。本書收むる所余が新舊の作四十餘篇素より一として詩の名稱を享受するに足るものあらず。只一片の微衷、國詩の發達に關して纖芥の貢資たるを得ば幸のみ。著者不敏と雖ども自ら僭して詩人と爲すの愚を學ぶものに非ず。

「天地有情」土井晩翠(青空文庫)

末尾部(原文より)

いま荒城のよはの月 變らぬ光たがためぞ 垣に殘るはただかづら 松に歌ふはただあらし。 天上影は變らねど 榮枯は移る世の姿 寫さんとてか今もなほ あゝ荒城の夜半の月。

「天地有情」土井晩翠(青空文庫)

名文

春高樓の花の宴 めぐる盃影さして 千代の松が枝わけ出でし むかしの光いまいづこ。

土井晩翠の詩「荒城の月」(原題「荒城月」)の第一連。滝廉太郎が曲をつけた唱歌として今も歌い継がれる。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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