手仕事の日本(柳宗悦)のあらすじ・登場人物
日本中の手仕事をめぐる案内書
- 文字数
- 116,620字
- 読了目安
- 約3時間53分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
柳宗悦が、昭和十五年前後の日本各地に残る手仕事の品々を、地方ごとに案内した書物。戦時中の1943年(昭和18年)に書き上げられ、戦後の1948年(昭和23年)に刊行された。自然・歴史・固有の伝統という品物の背景を述べた第一章に続き、第二章で関東・東北・中部・北陸・近畿・中国・四国・九州・沖縄の焼物、織物、染物、漆器、竹細工などを土地ごとに紹介し、第三章で職人の功績と「実用と美」「健康の美」を論じる。芹沢銈介の挿絵を添え、旅の手引きのような平明な文章で書かれている。
あらすじ
戦後に書き添えた序で著者は、この本が戦争直前の日本の手仕事を記したものであり、すでに失われた品もあるが、工芸の面で日本を立て直すべき今こそ必要な案内書になると述べる。前書「手仕事の国」では、機械が支配的になった西洋に比べ、日本にはまだ手仕事が豊かに残っていることを語る。第一章「品物の背景」は、土地の自然と歴史と固有の伝統が品物の姿を決めることを説く。第二章「日本の品物」では、東京から東北の各県、中部、北陸、近畿、中国、四国、九州、そして沖縄へと順にめぐり、それぞれの土地で作られる陶器、布、紙、漆器、金物、籠などを、産地の名と使われ方を挙げながら具体的に紹介していく。第三章「品物の性質」では、無名の職人たちの功績を称え、実用に忠実な品にこそ健康な美が宿ると論じる。後記では、正しい美しさを持つ品だけを選んで記したこと、その多くは東京・駒場の日本民藝館で実物を見られることを記している。
冒頭部(原文より)
この一冊は戦時中に書かれました。記してある内容は大体昭和十五年前後の日本の手仕事の現状を述べたものであります。戦争はおそらく多くの崩壊を手仕事の上に齎らしたと思います。それ故私がここに記録したものの中には、終戦後の今日では、既に過去のものとなったものが見出されます。例えば沖縄の場合の如き今では想い出語りとなったものが多いでありましょう。
「手仕事の日本」柳宗悦(青空文庫)
末尾部(原文より)
数え挙げた品はもとより洩れなく凡てに行き渡っているのではありません。しかし主なものや特色あるものは、ほぼ示しましたから、これで日本の手工藝の現状をあらまし知ることは出来るでありましょう。ただ注意して頂きたいのは、この本はけじめもなく現在の品物を列べ数えたのではなく、正しい美しさを持つもののみを顧みたことであります。それ故雑然とした記述を避け、一定の目標を立てて取捨選択を施してあります。私は何が信頼し得べき品であるかを読者に語る義務を感じました。郷士的な実用品を主に取扱いましたから、玩具の如き類はわずかの例に止めてあります。また伝統的なものを主な相手としましたから、個人的な作品は省きました。列挙しました品物の多くは、幸にも東京都駒場に在る「日本民藝館」の陳列に見ることが出来ますから、親しくそこを訪われて、実物に交られることを望みます。
「手仕事の日本」柳宗悦(青空文庫)
名文
日本は手仕事の日本を更に活かさねばなりません。
柳宗悦『手仕事の日本』の序の結び近く。戦争を経て、日本の手仕事の意義をあらためて考えるべきだと訴える。
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。
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