伊東静雄の名文
伊東静雄の作品から、よく知られた一節を集めました。
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わがひとに与ふる哀歌
太陽は美しく輝き あるひは 太陽の美しく輝くことを希ひ 手をかたくくみあはせ しづかに私たちは歩いて行つた かく誘ふものの何であらうとも 私たちの内の 誘はるる清らかさを私は信ずる
伊東静雄の第一詩集の表題作の冒頭。澄んだ光の中を歩む二人を描き、「誘はるる清らかさ」への信を語る、日本浪曼派を代表する抒情詩。
詩集夏花
遂ひ逢はざりし人の面影 一茎の葵の花の前に立て。 堪へがたければわれ空に投げうつ水中花。 金魚の影もそこに閃きつ。 すべてのものは吾にむかひて 死ねといふ、 わが水無月のなどかくはうつくしき。
伊東静雄『夏花』(1940年)の「水中花」の後半。夜店の水中花を空に投げうつ身ぶりに、逢えなかった人への思いを託す。すべてが死ねと言うほど美しい六月という結びは、昭和の抒情詩のなかでもよく知られた一行である。