倉田百三の名文
倉田百三の作品から、よく知られた一節を集めました。
3件
出家とその弟子
さびしい時はさびしがるがいい。運命がお前を育てているのだよ。ただ何事も一すじの心でまじめにやれ。ひねくれたり、ごまかしたり、自分を欺いたりしないで、自分の心の願いに忠実に従え。
さびしさを打ち明ける唯円への親鸞の答え。倉田百三『出家とその弟子』で最もよく引かれる言葉の一つ。
いけなくてもだれも一生に一度は恋をするものだ。人間の一生の旅の途中にある関所のようなものだよ。その関所を越えると新しい光景が目の前にひらけるのだ。
恋に悩む若い弟子の唯円に、老いた親鸞が語る言葉。恋を罪とからめつつも、人生の関所として肯定するこの戯曲の核心がうかがえる。
愛と認識との出発
自分はかつて人間の愛を求めた。燃ゆるがごとき情熱と、喘ぐがごとき渇望とをもって、否あるときはむしろ乞食のごとき嘆願をさえもって! 友情と恋愛とはその頃の自分の生活の最も重要なる題目であり、最も奥底のいのちであり、また最も内部に燃えている火であった。
倉田百三の評論集『愛と認識との出発』の一節。友情と恋愛に生のすべてを賭けた若き日を、激しい言葉で振り返る。