太安万侶の名文
太安万侶の作品から、よく知られた一節を集めました。
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古事記
ここにその妹伊耶那美の命に問ひたまひしく、「汝が身はいかに成れる」と問ひたまへば、答へたまはく、「吾が身は成り成りて、成り合はぬところ一處あり」とまをしたまひき。
国生みの段。伊耶那岐と伊耶那美が互いの体を問い合う、日本神話の始まりを告げるおおらかな問答だ。
かれ天照らす大御神の出でます時に、高天の原と葦原の中つ國とおのづから照り明りき。
天の石屋戸の段の山場。天照大御神が岩屋から引き出され、闇に沈んでいた天地に光が戻る瞬間を一文で描く。
ここに速須佐の男の命、その御佩の十拳の劒を拔きて、その蛇を切り散りたまひしかば、肥の河血に變りて流れき。
八俣の大蛇退治。酒に酔って眠る大蛇を須佐之男命が斬り散らし、肥の河が血に変わる。このあと尾から草薙の大刀が現れる。
現代語訳 古事記
依つて教えた通りにしましたから、その身はもとの通りになりました。これが因幡の白兎というものです。
武田祐吉訳『古事記』の「兎と鰐」。皮を剥がれた兎が大国主命の教えで治る、よく知られた因幡の白兎の話の結びだ。
山に圍まれている大和は美しいなあ。
能煩野で倭建命が故郷を偲んで詠んだ国偲び歌の結句の訳。「大和は國の中の國だ」と始まる歌を、平明な口語で伝える。