徳冨蘆花の名文
徳冨蘆花の作品から、よく知られた一節を集めました。
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不如帰
ああつらい! つらい! もう――もう婦人なんぞに――生まれはしませんよ。
不治の病に引き裂かれた浪子の、絶唱ともいうべき臨終間際の叫び。明治の世を涙で染めたベストセラーの名場面。
あああ、人間はなぜ死ぬのでしょう! 生きたいわ! 千年も万年も生きたいわ! 死ぬなら二人で! ねエ、二人で!
逗子の海辺で、結核を病む浪子が夫の武男に語りかける言葉。生きたいと願う切実な叫びは、明治の読者の涙を誘った本作の名場面として知られる。
謀叛論(草稿)
諸君、幸徳君らは時の政府に謀叛人と見做されて殺された。諸君、謀叛を恐れてはならぬ。謀叛人を恐れてはならぬ。自ら謀叛人となるを恐れてはならぬ。新しいものは常に謀叛である。
徳冨蘆花『謀叛論』(1911年)より。大逆事件で幸徳秋水らが処刑された直後、第一高等学校の講演で語った言葉の草稿。「新しいものは常に謀叛である」と、型に従うだけの生を霊魂の死として退ける。