山之口貘の名文
山之口貘の作品から、よく知られた一節を集めました。
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山之口貘詩集
歩き疲れては 夜空と陸との隙間にもぐり込んで寢たのである 草に埋もれて寢たのである ところ構はず寢たのである
「生活の柄」の冒頭。野宿の日々を淡々と重ねたうえで、秋が来れば眠れないと嘆く、沖縄出身の詩人の代表作。
鮪に鰯
鮪の刺身を食いたくなったと 人間みたいなことを女房が言った 言われてみるとついぼくも人間めいて 鮪の刺身を夢みかけるのだが
山之口貘「鮪に鰯」の書き出し。鮪の刺身すら「人間みたいなこと」と言うほどの貧しい暮らしを、とぼけた口調で語る。詩は水爆実験の灰をかぶった魚へと進み、ユーモアの奥から時代への怒りが顔を出す。