春の詩集(河井酔茗)のあらすじ・登場人物
若い日の詩集を見せてください
- 文字数
- 350字
- 読了目安
- 約1分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
河井酔茗の詩。1932年(昭和7)の『紫羅欄花』に収められた。若い日に書いた詩集を誰もがひそかに持っている、という発想から、感傷的で未熟な詩を大切にしまっておくことの意味を語りかける。
あらすじ
「あなたの懐中にある小さな詩集を見せてください かくさないで――」と呼びかけて始まる。それは一冊きりの若い時の詩集で、幼く、まずく、感傷的で、無分別で浅はかだが、歌わずにはいられなかった頃の、さびしさと人恋しさがあふれた詩集だと語る。人に見せないまでも大切にしまっておき、春が来るたびに春の心になって、自分の苦しさを思い出してみるのがよい。詩集には過ぎていく春の悩みが書いてあるのだから、季節がまた春になった今、古い詩集を見せてほしいと結ぶ。
冒頭部(原文より)
あなたの懐中にある小さな詩集を見せてください かくさないで――。 それ一冊きりしかない若い時の詩集。 隠してゐるのは、あなたばかりではないが をりをりは出して見せた方がよい。 さういふ詩集は 誰しも持つてゐます。 をさないでせう、まづいでせう、感傷的でせう
「春の詩集」河井酔茗(青空文庫)
末尾部(原文より)
自分の苦しさを思ひ出してみることです。 詩集には 過ぎて行く春の悩みが書いてあるでせう。 ふところ深く秘めて置いて そつと見る詩集でせう。 併し 季節はまた春になりました。 あなたの古い詩集を見せて下さい。
「春の詩集」河井酔茗(青空文庫)
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