怪人二十面相(江戸川乱歩)のあらすじ・登場人物
少年探偵団シリーズ第一作
- 作者
- 江戸川乱歩
- 発表
- 1936年(昭和11年)1月
- 初出
- 少年倶楽部
- 種別
- 小説
- ジャンル
- ミステリ
- 冒険
- 舞台
- 東京都
- 文字数
- 109,637字
- 読了目安
- 約3時間39分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
江戸川乱歩が1936年(昭和11年)、雑誌「少年倶楽部」に連載した少年向け探偵小説で、以後長く書き継がれる「少年探偵団」シリーズの記念すべき第一作。二十の異なる顔を持つと言われる神出鬼没の怪盗「二十面相」は、宝石や美術品ばかりをねらい、決して人を傷つけない美学の持ち主。かならず犯行を予告してから盗みを働く彼と、名探偵・明智小五郎、そして少年助手・小林芳雄ひきいる少年探偵団とが、知恵と勇気をぶつけ合う痛快な攻防を描く。子どもたちを夢中にさせた不朽のヒーローものであり、変装と大がかりな計略に満ちた乱歩流エンターテインメントの代表作である。
あらすじ
東京中の人々が怪盗「二十面相」の噂におびえていた。二十のまったく違う顔を持つと言われるこの賊は、老人にも若者にも、女にさえも変装し、警察の捜査を巧みにかわしては、富豪の秘蔵する宝石や美術品を次々とねらう。ただし人を傷つけることは決してせず、盗みの前にはかならず予告状を送るのが流儀だった。二十面相は大実業家・羽柴壮太郎の邸をねらい、家宝のダイヤモンドと美術品を予告する。羽柴家は名探偵・明智小五郎に助けを求めるが、あいにく明智は外国へ旅行中。かわりに少年助手の小林芳雄少年が明智の名代として羽柴家に乗り込み、少年探偵団の仲間とともに知恵をしぼって賊に立ち向かう。二十面相はあの手この手の変装と奇抜な計略で羽柴家をかき乱し、いったんは家宝を奪うことに成功するが、やがて帰国した明智小五郎が反撃に転じる。変装を見破り、罠を仕掛け、追いつ追われつの攻防の末、二十面相はついに追いつめられ、最後は博物館前で、小林少年と少年探偵団の体当たりによって取り押さえられる。悪知恵と正義の知恵が火花を散らす、少年探偵団シリーズの輝かしい幕開けである。
登場人物
- 怪人二十面相 二十の顔を持つと言われる神出鬼没の怪盗
- 明智小五郎 日本一の名探偵
- 小林芳雄 明智の少年助手。少年探偵団の団長
- 羽柴壮太郎 家宝をねらわれる大実業家
人物相関図
章ごとの「厳選あらすじ」
アプリでは、この作品を次の章立てで詳しく読めます(全文はアプリ内)。
- 一 この作品について
- 二 主要人物
- 三 主要なサブキャラクター
- 四 鉄のわなと、にせの長男
- 五 池の底の竹筒、そして誘拐
- 六 観音像に化けた少年探偵
- 七 伝書バトと、コックのすりかえ
- 八 美術城──にせの名探偵
- 九 東京駅、名探偵と怪盗の初対面
- 十 少年探偵団と、十二月十日午後四時
- 十一 重要な設定と伏線
冒頭部(原文より)
そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。 「二十面相」というのは、毎日毎日、新聞記事をにぎわしている、ふしぎな盗賊のあだ名です。その賊は二十のまったくちがった顔を持っているといわれていました。つまり、変装がとびきりじょうずなのです。 どんなに明るい場所で、どんなに近よってながめても、少しも変装とはわからない、まるでちがった人に見えるのだそうです。
『怪人二十面相』江戸川乱歩(青空文庫)
末尾部(原文より)
まず先頭の小林少年が二十面相を目がけて、鉄砲玉のようにとびついていきました。つづいて羽柴壮二少年、つぎはだれ、つぎはだれと、みるみる、賊の上に折りかさなって、両手の不自由な相手を、たちまちそこへころがしてしまいました。 さすがの二十面相も、いよいよ運のつきでした。 「ああ、ありがとう、きみたちは勇敢だねえ。」 かけつけてきた中村係長が少年たちにお礼をいって、部下の警官と力をあわせ、こんどこそとり逃がさぬように、賊をひったてて、ちょうどそこへやってきた警察自動車のほうへつれていきました。
『怪人二十面相』江戸川乱歩(青空文庫)
名文
そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。
少年探偵団シリーズの幕開け。うわさ話の広がりだけで怪盗の巨大さを描き、明智小五郎と小林少年の登場を待たせる。
原文を読む
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