ペローの名文
ペローの作品から、よく知られた一節を集めました。
7件
眠る森のお姫さま
さて、百年は夢のようにすぎました。
ペロー『眠る森のお姫さま』で、呪いの眠りについた城の百年を一文で飛び越える。昔話ならではの大胆な時の運び。
「王子さま、あなたでございましたの。」と、お姫さまはそういって、にっこりしました。「ずいぶん待っていただきましたのね。」
百年の眠りからさめたお姫さまの第一声。待っていたのは自分のほうなのに相手をねぎらう、ペロー版らしい機知のある言葉。
灰だらけ姫
妖女はそこで、ほんのわずか、つえの先で、サンドリヨンのからだにさわったとおもうと、みるみる、つぎはぎだらけの着物は、宝石をちりばめた金と銀の着物にかわってしまいました。
ペロー『灰だらけ姫』(シンデレラ)で、妖女の杖がぼろ着を晴れ着に変える場面。かぼちゃの馬車に続く、魔法の仕上げ。
十二時から一分でもおくれると、馬車はまたかぼちゃになるし、馬は小ねずみになるし、御者は大ねずみになるし、べっとうはとかげになるし、着ている着物も、もとのとおりのぼろになるのだから、といってきかせました。
舞踏会へ送り出す妖女の言いつけ。魔法には十二時という期限があるという、シンデレラの物語で最も知られた約束。
猫吉親方
「だんな、そんなごしんぱいはなさらなくてもようございますよ。そのかわり、わたしにひとつ袋をこしらえてください。それから、ぬかるみの中でも、ばらやぶの中でも、かけぬけられるように、長ぐつを一そくこしらえてください。そうすれば、わたしが、きっとだんなを、しあわせにしてあげますよ。ねえ、そうなれば、だんなはきっと、わたしを遺産に分けてもらったのを、お喜びなさるにちがいありません。」
遺産に猫しかもらえず嘆く三男に、猫が長ぐつを求める場面。ペロー『猫吉親方』(長靴をはいた猫)の知恵者ぶりが始まる。
青ひげ
それもそのはず、このかぎは魔法のかぎだったのです。ですから、おもてがわのほうの血を落したかとおもうと、それはうらがわに、いつか、よけいこく、にじみ出していました。
禁じられた小部屋を開けた奥方が、鍵についた血を消せずにおびえる場面。ペロー『青ひげ』の恐怖を象徴する一節。
「アンヌねえさま、アンヌねえさま、まだなにもこないの。」
追いつめられた奥方が、塔の上の姉に兄たちの姿を問う言葉。繰り返される問いかけが、息づまる緊張を高めていく。