アプリで読む

無料・登録不要

灰だらけ姫(ペロー)のあらすじ・登場人物

十二時までのガラスのくつ

  • 幻想
  • 恋愛
  • 翻訳

ペロー 訳者 楠山正雄 1950年(昭和25年)5月

文字数
8,311字
読了目安
約17分
表記
新字新仮名

この作品について

シンデレラの物語として世界中に知られるシャルル・ペローの童話を、楠山正雄が訳した一篇。原題は「サンドリヨン、またはガラスの上ぐつ」。かぼちゃの馬車、十二時の約束、ガラスのくつといった今日おなじみの道具立ては、すべてこのペロー版に由来する。顔の美しさよりもやさしい心こそ妖女のおくり物だ、という教訓で締めくくられる。

あらすじ

ある紳士が後妻に迎えた女は高慢でわがままな人で、連れ子の二人の娘も母親そっくりだった。先妻の娘だけが亡き母に似てすなおでやさしく、そのため義母ににくまれ、台所に下げられて女中同然に働かされる。仕事がすむと灰の中にうずくまっていたので、姉たちからは「灰だらけ」と呼ばれた。王子の舞踏会の日、着飾って出かける姉たちの髪を結ってやり、ひとり残って泣いていると、名づけ親の妖女が現れる。かぼちゃは金の馬車に、ねずみは馬に、とかげは従者に変わり、ぼろは銀と金の衣装に変わった。ただし十二時を過ぎると何もかももとに戻るという約束つきである。舞踏会で誰よりも美しいと評判になった娘は、はじめの晩はぎりぎりで帰り、二度目の晩に時を忘れて駆け出し、階段にガラスの上ぐつを片方落としてしまう。王子はその小さなくつの持ち主を国じゅうに捜させる。姉たちがどうしても足を入れられなかったくつに、灰だらけの娘の足はすっと入り、娘はふところからもう片方を取り出してみせた。姫となった娘は、わびる姉たちを抱きしめ、城へ引き取って貴族にめあわせる。

登場人物

冒頭部(原文より)

一  むかしむかし、あるところに、なに不自由なく、くらしている紳士がありました。ところが、その二どめにもらったおくさんというのは、それはそれは、ふたりとない、こうまんでわがままな、いばりやでした。まえのご主人とのなかに、ふたりもこどもがあって、つれ子をしておよめに来たのですが、そのむすめたちというのが、やはり、なにから、なにまでおかあさんにそっくりな、いけないわがままむすめでした。  さて、この紳士には、まえのおくさんから生まれた、もうひとりの若いむすめがありましたが、それは気だてなら、心がけなら、とてもいいひとだった亡くなった母親そっくりで、このうえないすなおな、やさしい子でした。

「灰だらけ姫」ペロー(青空文庫)

末尾部(原文より)

そのかわり、これからは、やさしくしてくれるようにといいました。  サンドリヨンは、りっぱな着物を着たまま、王子の前へつれて行かれました。王子は、それで、いよいよサンドリヨンがすきになって、それから四、五日して、めでたくご婚礼の式をあげました。  サンドリヨンは、顔が美しいように、心のやさしいむすめでしたから、ふたりのきょうだいをも、お城へ引きとってやって、ご婚礼のその日に、やはり、ふたりの貴族にめあわせることにしました。  顔とすがたの美しいことは、男にも女にも、とうといたからです。でも、やさしく、しおらしい心こそ、妖女のこの上ないおくりものだということを知らなくてはなりません。

「灰だらけ姫」ペロー(青空文庫)

名文

妖女はそこで、ほんのわずか、つえの先で、サンドリヨンのからだにさわったとおもうと、みるみる、つぎはぎだらけの着物は、宝石をちりばめた金と銀の着物にかわってしまいました。

ペロー『灰だらけ姫』(シンデレラ)で、妖女の杖がぼろ着を晴れ着に変える場面。かぼちゃの馬車に続く、魔法の仕上げ。

十二時から一分でもおくれると、馬車はまたかぼちゃになるし、馬は小ねずみになるし、御者は大ねずみになるし、べっとうはとかげになるし、着ている着物も、もとのとおりのぼろになるのだから、といってきかせました。

舞踏会へ送り出す妖女の言いつけ。魔法には十二時という期限があるという、シンデレラの物語で最も知られた約束。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品