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眠る森のお姫さま(ペロー)のあらすじ・登場人物

紡錘に刺されて、百年の眠り

  • 幻想
  • 翻訳

ペロー 訳者 楠山正雄 1950年(昭和25年)5月

文字数
8,338字
読了目安
約17分
表記
新字新仮名

この作品について

日本では「眠れる森の美女」の題で知られるシャルル・ペローの童話を、楠山正雄が訳した一篇。招かれなかった年寄りの妖女の呪いによって、姫は紡錘に指を刺し、城もろとも百年の眠りにつく。グリム版と違って目ざめたあとにも物語が続き、人食いの血をひく王子の母との争いが後半に置かれているのが特徴で、原話の姿をよく伝えている。アニメーション映画やバレエを通じて世界に広まった物語の、もとのかたちが読める。

あらすじ

子に恵まれなかった王と妃に、ようやく姫が生まれる。洗礼式には国じゅうの妖女七人が名づけ親として招かれ、めいめい美しさや歌や踊りの才をおくり物として与えた。ところが五十年も塔にこもっていて忘れられていた年寄りの妖女が現れ、「姫は紡錘に手を刺されて死ぬ」と呪いをかける。おくり物をまだ渡していなかった若い妖女が進み出て、「死ぬのではなく、百年のあいだ眠り、王子に起こされる」と言い換えた。王は国じゅうの紡錘を禁じたが、十五、六になった姫は城の塔のいちばん上で糸をつむぐ老婆に出会い、面白がって手に取ったとたん指を刺して倒れる。若い妖女は、姫が目ざめたときひとりぼっちにならないよう、城じゅうの人々を同じ眠りにつかせ、まわりには茨の森を茂らせた。百年ののち、狩りに来た王子が森の奥の城に分け入り、金の刺繍の帳の中に眠る姫を見つける。眠りの期限はちょうど満ちていた。二人はひそかに夫婦となり、朝と昼という名の二人の子が生まれるが、やがて王子が王位につくと、人食いの血をひく母后が孫と嫁をねらいはじめる。

登場人物

冒頭部(原文より)

一  むかしむかし、王様とお妃がありました。おふたりは、こどものないことを、なにより悲しがっておいでになりました。それは、どんなに悲しがっていたでしょうか、とても口ではいいつくせないほどでした。そのために、世界じゅうの海という海を渡って、神様を願をかけるやら、お寺に巡礼をするやらで、いろいろに信心をささげてみましたが、みんな、それはむだでした。  でもそのうち、とうとう信心のまことがとどいて、お妃に、ひいさまの赤ちゃんが生まれました。それでさっそく、さかんな洗礼の式をあげることになって、お姫さまの名づけ親になる教母には、国じゅうの妖女が、のこらず呼び出されました。その数は、みんなで七人でした。

「眠る森のお姫さま」ペロー(青空文庫)

末尾部(原文より)

そのわけは、弟のほうが、ねえさんよりも、ずっとりっぱで、美しかったからでございます。  それからまた二年たって、王様がおかくれになって、王子が、新しい王様の位につくことになりました。そこではじめて、天下はれて、王女と結婚のしだいを、国じゅうに知らせました。そうして、りっぱな儀式をととのえて、あらためて、眠る森から、お姫さまをお迎えになりました。王女はふたりのこどもを両わきにのせ、美しい行列の馬車をそろえて、王様のお城に乗りこみました。  美しいりっぱな、いい心をもったあいてを、待っているということは、むずかしいことです。でも、待つことによって、幸福はましこそすれ、へるということはありません。

「眠る森のお姫さま」ペロー(青空文庫)

名文

さて、百年は夢のようにすぎました。

ペロー『眠る森のお姫さま』で、呪いの眠りについた城の百年を一文で飛び越える。昔話ならではの大胆な時の運び。

「王子さま、あなたでございましたの。」と、お姫さまはそういって、にっこりしました。「ずいぶん待っていただきましたのね。」

百年の眠りからさめたお姫さまの第一声。待っていたのは自分のほうなのに相手をねぎらう、ペロー版らしい機知のある言葉。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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