アプリで読む

無料・登録不要

ブレーメンの町楽隊(グリム兄弟)のあらすじ・登場人物

ブレーメンへは着かなかった

  • 幻想
  • 冒険
  • 翻訳

グリム兄弟 訳者 楠山正雄 1949年(昭和24年)2月

文字数
4,288字
読了目安
約9分
表記
新字新仮名

この作品について

年を取って主人に用済みと見なされたろば・犬・猫・にわとりの四匹が、ブレーメンの町の楽隊に入ろうと旅に出る、グリム童話でもとりわけ明るい一篇。楠山正雄の訳。結局ブレーメンには着かず、道中で見つけた泥棒の家を、背中に乗り重なって一斉に鳴く「音楽」で乗っ取ってしまう。役に立たなくなった者たちが寄り集まって自分たちの居場所をつくるという筋立てが、いまも世界中で絵本や舞台に取り上げられている。

あらすじ

長年、粉ひき所へ重い袋を運んできたろばは、年老いて主人に飼い殺しを惜しまれていると悟り、ブレーメンの町楽隊に雇ってもらおうと逃げ出す。道で出会ったのは、走れなくなって打ち殺されかけた猟犬、ねずみを取れなくなって沈められかけた猫、そして明日はスープにされると知ったにわとりだった。「おれたちと来い、ブレーメンで音楽をやろう」と四匹は連れ立つが、その日のうちには着かず、森で夜を明かすことになる。にわとりが高い木から見つけた明かりをたよりに近づくと、そこは泥棒の一味がごちそうを並べている家だった。四匹はろばの背に犬、その上に猫、いちばん上ににわとりと積み重なり、窓越しに声をそろえて鳴きたてる。泥棒たちは化けものが出たと逃げ散り、四匹は思うぞんぶん食べて眠りこんだ。深夜、ようすを見に戻ってきた泥棒の一人は、暗がりで猫に顔をひっかかれ、犬にすねを噛まれ、ろばに蹴られ、にわとりの声を裁判官の叫びと聞きちがえて逃げ帰る。以来、泥棒は二度とこの家に近寄らず、四匹はすっかり気に入ってそこに住みついた。

登場人物

冒頭部(原文より)

主人もちのろばがありました。もうなが年、こんきよく、おもたい袋をせなかにのせて、粉ひき所へかよっていました。さて、年をとって、だんだんからだがいうことをきかなくなり、さすがにこのうえ追いつかうのがむりだとわかると、主人は、ここらでろばのかいぶちをやめたものか、と考えだしました。ところで、ろばは、さっそくに、こりゃ、ろくなことではないとさとって、逃げだして、ブレーメンの町をめあてに、とことこ出かけました。そこへ行ったら、町の楽隊にやとってもらえようという胸算用でした。

「ブレーメンの町楽隊」グリム兄弟(青空文庫)

末尾部(原文より)

その上、たかい所には、ちゃんと裁判官がひかえていまして、さあ、そのわるもの、ここへつれて来い、とどなりました。いやもう、さんざんのていたらくで、まっくらさんぼう逃げて来ました。」  それからは、どろぼうどもも、こりて、二どとふたたび、この家にはいろうとはしませんでした。ところで、ブレーメンの楽隊なかま四人組も、ひどく、ここが気に入ったので、それなりもうよそへ出て行こうとはしませんでした。  さて、これまで申したことは、ついこないだ、それこそ湯気の立つほやほやの口からきいたお話ですよ。

「ブレーメンの町楽隊」グリム兄弟(青空文庫)

名文

ころされて死ぬくらいなら、すこしは気のきいた所が、どこへ行ったってあろうじゃないか。

スープにされそうなおんどりを、ろばが旅に誘う言葉。主人に見捨てられた老いた動物たちが、新しい道を選ぶ物語の精神を表す。

ろばは、前足を窓にのせることになりました。犬は、ろばのせなかにとびあがることにしました。ねこは犬のせなかによじのぼることにしました。おしまいに、おんどりが、ばさばさととびあがって、ねこの頭の上にのっかりました。

どろぼうの家を見つけた四匹が、互いの背に乗って一体となる場面。音楽隊の姿として広く知られる、物語いちばんの見せ場。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品