白雪姫(グリム兄弟)のあらすじ・登場人物
鏡よ鏡、世界一美しいのは
- 幻想
- 翻訳
- 文字数
- 10,727字
- 読了目安
- 約21分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
グリム兄弟の童話のうち、世界で最も広く読まれてきた一篇を菊池寛が子ども向けに訳したもの(原題「スネーウィットヒェン」)。雪のように白い肌、血のように赤い頬、こくたんのように黒い髪を持って生まれた姫と、魔法の鏡に「世界でいちばん美しい」と言わせずにはいられない継母の女王との物語である。締めひも・毒の櫛・毒りんごと三度くりかえされる殺意、七人の小人の山小屋、ガラスの柩といった場面は、後の絵本やアニメーションが繰り返し描いてきた原型そのものである。
あらすじ
雪の降る冬のさなか、こくたんの窓辺で縫いものをしていた女王が指を刺し、雪の上に落ちた三滴の血を見て「雪のように白く、血のように赤く、こくたんのように黒い髪の子がほしい」と願う。やがてその願いのとおりの姫が生まれ、白雪姫と名づけられるが、母である女王はまもなく世を去った。あとに来た継母の女王は、たいそう美しいが高慢で、魔法の鏡に毎日「世界でいちばん美しいのは誰か」と尋ねずにはいられない人だった。姫が七つになったある日、鏡は「白雪姫のほうがうつくしい」と答える。逆上した女王は狩人に姫を殺すよう命じるが、狩人は姫を森に逃がし、身代わりの獣の臓物を持ち帰る。森をさまよった姫は、山の奥の小さな家にたどり着き、七人の小人にかくまわれる。しかし鏡はふたたび姫の生存を告げ、女王は物売りに化けて三度訪ねてくる。締めひもで息を止め、毒の櫛で倒し、そして最後には毒りんごを半分だけ食べさせた。小人たちの手当ても及ばず、姫はガラスの柩に納められる。そこへ通りかかった王子が姫を譲り受け、運ぶ途中のはずみでのどの毒りんごが飛び出して——。
登場人物
- 白雪姫 雪のように白い肌を持つ姫。継母の女王に三度も命をねらわれる
- 女王 白雪姫の継母。魔法の鏡に世界一の美しさを保証させたがる
- 魔法の鏡 問われるままに世界でいちばん美しい人を答える鏡
- 七人の小人 山の中で白雪姫をかくまう鉱夫たち
- 王子 ガラスの柩に眠る白雪姫を見そめる若者
冒頭部(原文より)
むかしむかし、冬のさなかのことでした。雪が、鳥の羽のように、ヒラヒラと天からふっていましたときに、ひとりの女王さまが、こくたんのわくのはまった窓のところにすわって、ぬいものをしておいでになりました。女王さまは、ぬいものをしながら、雪をながめておいでになりましたが、チクリとゆびを針でおさしになりました。すると、雪のつもった中に、ポタポタポタと三滴の血がおちました。まっ白い雪の中で、そのまっ赤な血の色が、たいへんきれいに見えたものですから、女王さまはひとりで、こんなことをお考えになりました。 「どうかして、わたしは、雪のようにからだが白く、血のように赤いうつくしいほっぺたをもち、このこくたんのわくのように黒い髪をした子がほしいものだ。」と。
「白雪姫」グリム兄弟(青空文庫)
末尾部(原文より)
女王さまは、まねかれたご殿にはいりました。そして、ふと見れば、わかい女王になる人とは白雪姫ではありませんか。女王はおそろしさで、そこに立ちすくんだまま動くことができなくなりました。 けれども、そのときは、もう人々がまえから石炭の火の上に、鉄でつくったうわぐつをのせておきましたのが、まっ赤にやけてきましたので、それを火ばしでへやの中に持ってきて、わるい女王さまの前におきました。そして、むりやり女王さまに、そのまっ赤にやけたくつをはかせて、たおれて死ぬまでおどらせました。
「白雪姫」グリム兄弟(青空文庫)
名文
「どうかして、わたしは、雪のようにからだが白く、血のように赤いうつくしいほっぺたをもち、このこくたんのわくのように黒い髪をした子がほしいものだ。」
雪の日、針で指を刺した女王が心に願う場面。雪・血・黒檀という三つの色が、白雪姫の名と姿の由来となる。
原文を読む
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