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わるい王さま(アンデルセン)のあらすじ・登場人物

空へ挑んだ高ぶる王

  • 幻想
  • 翻訳

アンデルセン 訳者 矢崎源九郎 

文字数
3,427字
読了目安
約7分
表記
新字新仮名

この作品について

アンデルセンが1840年に発表した作品(原題「Den onde Fyrste」。副題は「伝説」)を、矢崎源九郎が訳したもの(新潮文庫『人魚の姫 アンデルセン童話集Ⅰ』)。国々を征服して宝をかき集め、ついに神さままで征服しようとする傲慢な王の最期を、伝説の語り口で描く。大きな力を持つ者が、小さなハチ一匹に打ち負かされるという寓意が、短い話の中に際立つ。

あらすじ

心の高ぶったわるい王さまは、火と刀で国々を征服し、宝をあつめ、りっぱな建物を建てさせて、世界でいちばんえらいと思いこむ。負けた国の王を金のくさりで車にゆわえ、神さまの像まで自分のものにしたがるが、坊さんにこばまれると、神さまをも征服しようと空飛ぶ船を作らせる。何百羽ものワシに引かせて空へ昇るが、神さまのつかわした天使の白いつばさから落ちた血の一しずくが重いなまりとなって、船は地上に落ちる。七年かけてさらに大きな船と大軍隊をそろえるが、出発のとき、神さまのつかわしたハチの群れにおそわれる。一ぴきのハチが耳の中をさし、王は気が狂ったようになって、はだかで踊りまわり、兵隊たちに笑われる。

登場人物

冒頭部(原文より)

 むかしむかし、心の高ぶった、わるい王さまがいました。この王さまは、わしの力で、世界じゅうの国々をせいふくしてやろう、わしの名前を聞いただけで、あらゆる人間をふるえあがらせてやりたいものだ、と、こんなことばかり考えていました。  王さまは、火と刀を持って、国から国へと進んで行きました。王さまの兵隊たちは、畑の穀物をふみにじり、農家に火をつけました。赤いほのおは、めらめらと燃えあがって、木々の葉を焼きはらいました。あとには、まっ黒こげの枝に、焼けた木の実が、ぶらさがっているばかりでした。  かわいそうに、おかあさんたちは、生れたばかりの、はだかの赤んぼうをかかえて、まだ、ぶすぶすと煙のあがっている、かべのかげにかくれました。ところが、兵隊たちは、すみからすみまで、さがしまわりました。うまく、おかあさんと子供を見つけると、まるで悪魔のように、よろこびました。どんなにわるい悪魔でも、これ以上にひどいことはできなかったでしょう。ところが、王さまときたら、こんなことをしても、あたりまえのことのように平気でいるのでした。

「わるい王さま」アンデルセン(青空文庫)

末尾部(原文より)

 王さまは、身をもがいて、じゅうたんをふりすてました。着物までも、ひきさきました。やばんで、らんぼうな兵隊たちの前で、王さまは、はだかのまま、踊りまわりました。  兵隊たちは、気が狂った王さまをばかにして、げらげら笑いころげました。なにしろ、神さまの国をせめようとして、たった一ぴきの、小さなハチのために、あっというまに、やっつけられてしまったんですからね。

「わるい王さま」アンデルセン(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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