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雪の女王(アンデルセン)のあらすじ・登場人物

心臓に刺さった鏡のかけら

  • 幻想
  • 冒険
  • 翻訳

アンデルセン 訳者 楠山正雄 

文字数
39,367字
読了目安
約1時間19分
表記
新字新仮名

この作品について

アンデルセンの童話でも最も長く、最も幻想的な一篇。「七つのお話でできているおとぎ物語」という副題どおり、悪魔の作った鏡のかけらが少年カイの目と心臓に入るところから始まり、さらわれた少年を捜して北へ旅する少女ゲルダの遍歴が七つの章に分けて語られる。楠山正雄訳。魔法の花園、からす、山賊の娘、ラップランドの女——行く先ざきで出会う者たちの助けを借りて進む構成は、のちの多くの幻想物語の原型となり、日本ではアニメーション映画の原作としても知られる。

あらすじ

悪魔がこしらえた鏡は、美しいものはちぢこまって映り、醜いものだけがはっきり映るという代物だった。天まで持ち上げようとして取り落とし、砕けたかけらは世界じゅうに飛び散って、人の目に入れば物がゆがんで見え、心臓に入ればその心は氷のかたまりになる。屋根裏の窓ごしに薔薇を育てて仲よく暮らしていたカイとゲルダ。ある日、カイの目と心臓にそのかけらが刺さり、少年は薔薇をののしり、ゲルダをあざ笑うようになる。やがて雪の降る広場で自分のそりを白い大きなそりにつなぎ、雪の女王に連れ去られてしまった。ゲルダは赤いくつを川に流してカイの行方を尋ね、魔法をつかう老婆の花園に引きとめられ、からすの夫婦に王子と王女の城へ導かれ、山賊の娘に命を助けられ、となかいの背でラップランドからフィンマルケンへと運ばれてゆく。雪の女王の宮殿では、カイが氷のかけらを並べて「永遠」という字を作ろうとしたまま凍りついていた。ゲルダの熱い涙が胸のかけらを溶かし、カイ自身の涙が目のかけらを流し出す。二人は手をつないで帰り、気がつけばもう大人になっていたが、心はやはり子どものままだった。

登場人物

冒頭部(原文より)

第一のお話    鏡とそのかけらのこと  さあ、きいていらっしゃい。はじめますよ。このお話をおしまいまできくと、だんだんなにかがはっきりしてきて、つまり、それがわるい魔法使のお話であったことがわかるのです。この魔法使というのは、なかまでもいちばんいけないやつで、それこそまがいなしの「悪魔」でした。  さて、ある日のこと、この悪魔は、たいそうなごきげんでした。

「雪の女王」アンデルセン(青空文庫)

末尾部(原文より)

おばあさまは、神さまの、うららかなお日さまの光をあびながら、「なんじら、もし、おさなごのごとくならずば、天国にいることをえじ。」と、高らかに聖書の一せつをよんでいました。  カイとゲルダとは、おたがいに、目と目を見あわせました。そして、 ばらのはな さきてはちりぬ おさな子エスやがてあおがん というさんび歌のいみが、にわかにはっきりとわかってきました。  こうしてふたりは、からだこそ大きくなっても、やはりこどもで、心だけはこどものままで、そこにこしをかけていました。  ちょうど夏でした。あたたかい、みめぐみあふれる夏でした。

「雪の女王」アンデルセン(青空文庫)

名文

さあ、きいていらっしゃい。はじめますよ。このお話をおしまいまできくと、だんだんなにかがはっきりしてきて、つまり、それがわるい魔法使のお話であったことがわかるのです。この魔法使というのは、なかまでもいちばんいけないやつで、それこそまがいなしの「悪魔」でした。

アンデルセン『雪の女王』の語り出し。美しいものを醜く映す魔法の鏡を作った悪魔の話から、すべてが始まる。

ばらのはな さきてはちりぬ  おさなごエス やがてあおがん

旅の終わりに、カイとゲルダが思い出す賛美歌。幼い日の夏の記憶がよみがえり、凍った心が解けていく。

こうしてふたりは、からだこそ大きくなっても、やはりこどもで、心だけはこどものままで、そこにこしをかけていました。

カイを救い出したゲルダとの再会の場面。からだは大人になっても、心は子どものまま二人が寄りそう、物語の結びに近い一節。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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