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アラビヤンナイト アリ・ババと四十人のどろぼう(菊池寛)のあらすじ・登場人物

開け、ごま! 宝の洞穴

  • 冒険
  • 翻訳

菊池寛 

文字数
9,289字
読了目安
約19分
表記
新字新仮名

この作品について

菊池寛が子ども向けにまとめた『アラビヤンナイト』(千夜一夜物語)の第三話。「開け、ごま」の呪文で知られる「アリ・ババと四十人の盗賊」を、やさしい「です・ます」体で語り直している。舞台はペルシャのある町。毎日ろばを引いて森へ木を切りに行く貧しい弟アリ・ババが、木の上から盗賊の一団を目にし、首領が岩の前で唱える不思議な言葉を聞き覚える。宝の洞穴をめぐる欲張りな兄カシムの失敗や、盗賊の執念深い仕返しを、機転の利く召使いモルジアナの活躍とともにテンポよく描き、ハラハラする場面の連続で読者を引きこむ一編である。

あらすじ

ペルシャのある町に、カシムとアリ・ババの兄弟がいた。金持ちの娘を妻にした兄が遊び暮らす一方、貧しい弟のアリ・ババは毎日森で木を切って暮らしていた。ある日、森で盗賊の一団を見かけたアリ・ババは木に登って身を隠し、首領が岩に向かって「開け、ごま」と唱えると岩が割れて戸が開くのを目にする。盗賊が去ったあと、同じ呪文で洞穴に入ったアリ・ババは、金貨の袋を六つ持ち帰った。妻が金貨を量るために兄の家から枡を借りると、兄嫁が枡の底に塗っておいた油に金貨が一枚くっついて戻り、秘密は兄に知られてしまう。欲張りなカシムは洞穴に入り込むが、中で呪文を忘れて出られなくなり、帰ってきた盗賊たちに殺されてしまった。アリ・ババは兄の亡骸を持ち帰り、賢い女奴隷モルジアナが靴屋に目隠しをさせて縫い合わせ、急病で死んだと取りつくろう。仲間を捜す盗賊の一人は靴屋を手がかりに家を突き止め、戸に白い印をつけるが、モルジアナは町じゅうの戸に同じ印をつけて目印を無にした。首領は油商人に化け、手下を隠した三十九の甕をアリ・ババの家に持ちこむが、油をもらいに出たモルジアナが中の盗賊に気づき、煮え立った油を注いで全員を退治する。最後に首領は商人を装ってアリ・ババの息子に近づき、夕食に招かれるが、塩を口にしないことからモルジアナに正体を見抜かれ、踊りの最中に短刀で刺される。アリ・ババは命の恩人のモルジアナを息子の嫁に迎え、その後は洞穴の宝で国一番の金持ちになった。

登場人物

冒頭部(原文より)

 昔、ペルシャのある町に、二人の兄弟が住んでいました。兄さんの名をカシムと言い、弟の名をアリ・ババと言いました。お父さんがなくなる時、兄弟二人に、財産を半分ずつに分けてくれましたので、二人は、同じような財産を持っておりました。

「アラビヤンナイト アリ・ババと四十人のどろぼう」菊池寛(青空文庫)

末尾部(原文より)

 さて、それからずいぶん後までも、アリ・ババは、こわがって、あのふしぎなほら穴へ行ってみようとはしませんでした。しかし、ある年の末、もう一度行ってみました。ところが、どろぼうたちが死んでからは、だれも来ないらしく、中は昔のままでありました。それでもう、こわい者が一人もいなくなったことがわかりました。  それから後は、「開け、ごま。」と、アリ・ババが、まほうの言葉を唱えさえすれば、あのふしぎな戸がすうーっと開いて、穴の中には、持ち出しても、持ち出してもつきることのないほどの、宝がありました。それで、アリ・ババは、国じゅうでならぶ者もないほどの、大金持になってしまいました。

「アラビヤンナイト アリ・ババと四十人のどろぼう」菊池寛(青空文庫)

名文

そして、そのどろぼうたちのかしららしい男が、木のそばにある岩の上にのぼって行きました。そしていきなり、 「開け、ごま。」 と、大きな声でさけびました。すると、どうでしょう。その岩が、ぱっと二つにわれました。中には重そうな戸が閉まっているのが見えました。やがて、その戸は見る見るうちにすうーっと開いてゆきました。そして、どろぼうたちが、その戸の中へどかどかと入って行くと、音もなく戸が閉まってしまいました。

アリ・ババが木の上から目撃する、盗賊の宝の洞穴。「開け、ごま」の合言葉で岩が割れる、あまりにも有名な場面。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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