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母を尋ねて三千里(アミーチス)のあらすじ・登場人物

母をたずねて海を越える

  • 家族
  • 冒険
  • 翻訳

アミーチス 訳者 日本童話研究会 1927年(昭和2年)10月

文字数
13,957字
読了目安
約28分
表記
新字新仮名

この作品について

イタリアの作家エドモンド・デ・アミーチスが1886年に刊行した『クオーレ』は、小学生エンリーコの一年間の日記に、先生が毎月語って聞かせる「今月のお話」を挟み込んだ構成をとる。その一編「アペニン山脈からアンデス山脈まで」を、日本童話研究会が子ども向けにやさしく訳したもので、1927年(昭和2年)に九段書房から出た童話集『家なき子』に収められた。ジェノアの十三歳の少年マルコが、出稼ぎに出たまま便りの途絶えた母をたずね、父と兄を残してただ一人アルゼンチンへ渡る。ブエノスアイレスからさらに内陸へと続く長い旅のなかで、マルコは見知らぬ人々の親切や冷たさに出会い、南米の大河や大平原を越えていく。です・ます調の平易な文章で、旅の情景と少年の心細さを素直に描く短い物語である。日本では「母をたずねて三千里」の題で広く親しまれ、1976年にはテレビアニメにもなった。

あらすじ

ジェノアの貧しい一家の母は、借金を返すため、アルゼンチンの首府ブエノスアイレスへ奉公に出る。初めは三月ごとに仕送りが届いたが、一年ほどして「身体の工合が少しよくない」という手紙を最後に、便りは途絶えてしまった。十三歳の弟マルコは、自分が母をたずねると言い張り、父も根負けして、知り合いの船長がくれた三等切符で旅立たせる。二十七日の航海ののち、ブエノスアイレスに着いたマルコがおじの店を訪ねると、おじはとうに亡くなっており、母の奉公先メキネズ家はコルドバへ移ったと告げられる。紹介状を手に川船でロサーリオへ渡るが、頼るはずの紳士は留守で、門前払いを受けて途方に暮れる。そこへ船で知り合ったロンバルディアの老人が通りかかり、イタリア人の集まる宿屋で仲間に訴えて旅費を集めてくれた。汽車でコルドバに着くと、メキネズ家はさらにツークーマンへ移っていた。マルコは牛車の隊商に雇ってもらい、人足たちにいじめられ、病に倒れながらも、親切な親方に看病されて旅を続ける。分かれ道で隊商と別れてからは、破れた靴で血をにじませながら一人で歩き通した。そのころ母は、メキネズ家に引き取られて重い病の床にあり、子どもたちはもう生きていないだろうと嘆いて、手術を拒み続けていた。ツークーマンにたどり着いたマルコは、メキネズ家がさらに郊外のサラヂーロにあると知り、夜通し歩いて屋敷に着く。息子の姿を見た母は、生きる力を取り戻して手術を受けると言い、手術は成功する。医者はマルコに、母を救ったのはお前だと告げた。

登場人物

冒頭部(原文より)

 もう何年か前、ジェノアの少年で十三になる男の子が、ジェノアからアメリカまでただ一人で母をたずねて行きました。  母親は二年前にアルゼンチンの首府ブエーノスアイレスへ行ったのですが、それは一家がいろいろな不幸にあって、すっかり貧乏になり、たくさんなお金を払わねばならなかったので母は今一度お金持の家に奉公してお金をもうけ一家が暮せるようにしたいがためでありました。  このあわれな母親は十八歳になる子と十一歳になる子とをおいて出かけたのでした。

「母を尋ねて三千里」アミーチス(青空文庫)

末尾部(原文より)

 と不意に女の叫び声が家中にひびきました。  マルコはびっくりして「おかあさんが死んだ。」と叫びました。  医者は入口に出て来て「おかあさんは助かった、」といいました。  マルコはしばらくぼんやりと立っていましたが、やがて医者の足許へかけていって泣きながら、 「お医者さま、ありがとうございます。」  といいました。  しかし医者はマルコの手をとってこういいました。 「マルコさん。おかあさんを助けたのは私ではありません。それはお前です。英雄のように立派なお前だ!」

「母を尋ねて三千里」アミーチス(青空文庫)

名文

もう何年か前、ジェノアの少年で十三になる男の子が、ジェノアからアメリカまでただ一人で母をたずねて行きました。

『母を尋ねて三千里』の書き出し。出稼ぎ先の南米で消息を絶った母を探し、少年マルコがひとり海を渡る物語の骨組みが一文で示される。

「お父さん僕をアメリカへやって下さい。おかあさんをたずねてきますから。」

母の便りが途絶えて悲しむ家で、幼いマルコが父に願い出る言葉。小さな少年の勇気が、三千里の旅の始まりとなる。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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