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アーサー王物語(テニソン)のあらすじ・登場人物

台所の若者は円卓の騎士へ

  • 冒険
  • 翻訳

テニソン 訳者 菅野徳助 1907年(明治40年)6月

文字数
59,250字
読了目安
約1時間58分
表記
旧字旧仮名

この作品について

三省堂の「青年英文学叢書」の第八篇として1907年(明治40年)6月に刊行された、英語の読み物に訳と注を付けた一冊。菅野徳助と奈倉次郎が訳注を担い、緒言では、テニソンが『国王牧歌』でうたったアーサー王と円卓の騎士の物語を「英国武士道」を伝えるものとして紹介し、紙数の都合でその一部を収めたと断っている。収録されたのは「ゲーレスとリネツトの卷」で、オークニーの王妃の末子ゲーレスが、母との約束から素性を隠し、アーサー王の宮廷で台所奉公を始めるところから物語が動き出す。英文の段落ごとに「(譯)」として訳文が続き、訳文の中に対応する英語の語句を括弧で書き入れる形をとる。原文と訳を照らし合わせながら、騎士道物語を一編通して読めるように組まれている。

あらすじ

アーサー王が円卓の騎士団を建て、その名声が国じゅうに響いていたころ、オークニーの王妃の末子ゲーレスは、王の宮廷に上って円卓の騎士になりたいと母に願い続けていた。手放したくない母は、身をやつして宮廷の台所に十二か月仕え、その間は決して名を明かさないという条件を出す。ゲーレスはこれを受け入れ、二人の家来に支えられて病人のような姿で王の前に進み、三つの願いのうち、まず十二か月の食べ物を乞い、残る二つは十二か月後に申し上げると言う。意地の悪い膳部の頭サー・ケーは、彼を「ボーメンズ(優さ手男)」とあだ名して台所でこき使うが、ランスロットとガウェーンだけは若者の品のよさを見抜いて目をかけた。一年がたった聖霊降臨祭の日、少女リネツトが現れ、赤の騎士に城を囲まれた姉の姫を救ってほしいと訴える。ボーメンズは残る二つの願いとして、この役目を自分に与えることと、ランスロットに騎士の位を授けてもらうことを求め、リネツトは台所の小者をよこされたと怒る。母から届いた甲冑と馬で旅立ったゲーレスは、追ってきたサー・ケーを打ち負かし、道中で賊から騎士を救い、川を守る二人の騎士や黒の騎士、緑の騎士、青の騎士を次々に倒すが、リネツトは悪口を浴びせ続ける。それでも怒らず進む彼の姿に、リネツトの態度は少しずつ和らいでいく。危難の城に着いたゲーレスは、樹に吊られた四十人の騎士の亡骸を見て奮い立ち、七人力の赤の騎士と死闘を演じる。一度は地に倒れるが、リネツトの嘆きの声に力を得て敵を打ち負かし、命乞いを受け入れて囚われの姫リオノルスを救い出した。しかしゲーレスの心はすでに意地っ張りのリネツトに傾いており、二人の婚礼が整う。駆けつけた母の王妃も我が子の手柄と美しい花嫁を喜び、物語は婚礼の鐘で結ばれる。

登場人物

冒頭部(原文より)

GARETH AND LYNETTE.   ゲーレスとリネツトの卷  It was in the old days of England, when instead of one King, there were many, who divided the country between them, and constantly made war upon each other, to increase their possessions. (譯)之れは英吉利の昔しの話(it was in the old days of England)、國に一王の今とは違ひ(when instead of one king)國土を分つ數多の君々あつて(there were many, who divided the country between them)、己が領地を擴めやうと(to increase their possessions)干戈を交えぬ日はなかつた(constantly made war upon each other)。

「アーサー王物語」テニソン(青空文庫)

末尾部(原文より)

 Lyonors was so grateful to her champion that he might have married her, but all his heart was with wilful Lynette, and soon the wedding was arranged. King Arthur received the whole party, and when he heard the story he praised Gareth till he made him blush. (譯)リオノルス姫は己が爲めに戰つたる勇士(her champion)に對し、感謝措く能はずで(so grateful……that)、茲に二人の結婚が成立たずとも限らなかつた(he might have married her)が、ゲーレスの心は全く意地張りのリネツトに傾いて居つたので(all his heart was with wilful Lynette)、時を移さず(soon)結婚の用意が出來た(the wedding was arranged)。アーサー王は主客一同を招待あつて(received the whole party)、事の次第を聞こし召されると、ゲーレスの顏の赧くなる程(till he made him blush)御褒めがあつた。  Then came the Queen of Orkney, and she scolded them all round for not having known Gareth in spite of his disguise; but when she heard how he had proved himself, and the charming bride he had won, she was comforted, and so all ended happily with wedding bells. (譯)其時オルクニーの王妃も見えて、よし身を窶して居るにもせよ(in spite of his disguise)ゲーレスと氣が付かなかつたとはと(for not having known Gareth)滿座の人々を叱りつけた(scolded them all round)が、我子が常人(たゞびと)ならぬを見せた次第(how he had proved himself)と、美しい花嫁を手に入れた次第とを(how the charming bride he had won=how he had won the charming bride)聞かせられては、(さすがに)王妃も其の氣色を直ほされた(was comforted)、斯くて目出度何もかも結婚の鐘で大團圓となつた(so all ended happily with wedding bells)。

「アーサー王物語」テニソン(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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