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ジャックと豆の木(楠山正雄)のあらすじ・登場人物

一晩で天までのびた、魔法の豆の木

  • 幻想
  • 冒険
  • 翻訳

楠山正雄 1950年(昭和25年)5月

文字数
8,339字
読了目安
約17分
表記
新字新仮名

この作品について

母と二人、貧しく暮らすのらくら者のジャックが、たった一頭の牝牛と引き換えに手に入れた不思議な豆。一晩のうちに天まで届く豆の木がのびて——イギリスの昔話を、楠山正雄が子どもの声で読めるやさしい日本語に語り直した一篇。

あらすじ

イギリスの大昔、アルフレッド大王の御代のこと。ロンドンから遠く離れた田舎の小屋で、やもめの母親がひとり息子のジャックと暮らしていた。のんきでずぼらな息子を目に入れても痛くないほどかわいがって育てたが、暮らしは年ごとに苦しくなり、とうとう残るのは一頭の牝牛だけになる。市場へ売りに出たジャックは、道で出会った肉屋の親方に言葉巧みに乗せられ、牛を「魔法の豆」の袋と取りかえて帰ってくる。怒った母親が豆を窓から投げ捨てると、翌朝、庭には空を突き抜けるほどの豆の木がそびえていた。はしごのようなその幹を登りきった先は不思議な国。赤い角ずきんの妖女が現れ、ジャックの父はかつて人食い鬼に殺され、城も宝も奪われたのだと明かす。宝を取り返すのがおまえの役目だ、と。ジャックは鬼の城に忍びこみ、金の卵を生む牝鶏を、金銀のつまった袋を、ひとりでに鳴る玉のハープを、三度にわたって持ち帰る。最後は目を覚ました鬼に豆の木を追われ、母の運んだ斧でその根もとを断ち切って——。日本の昔話の再話で知られる楠山正雄が、世界の童話をまとめた仕事のなかの一篇である。

冒頭部(原文より)

 むかしむかし、イギリスの大昔、アルフレッド大王の御代のことでございます。ロンドンの都からとおくはなれたいなかのこやに、やもめの女のひとが、ちいさいむすこのジャックをあいてに、さびしくくらしていました。かけがえのないひとりむすこですし、それに、ずいぶんのんきで、ずぼらで、なまけものでしたが、ほんとうは気だてのやさしい子でしたから、母親は、あけてもくれても、ジャック、ジャックといって、それこそ目の中にでも入れてしまいたいくらいにかわいがって、なんにもしごとはさせず、ただ遊ばせておきました。

「ジャックと豆の木」楠山正雄(青空文庫)

末尾部(原文より)

「あのとき、豆のはしごをみて、すぐとそのまま、どこまでものぼって行こうという気をおこしたのが、そもそもジャックの運のひらけるはじめだったのです。あれを、ただぼんやり、ふしぎだなあとおもってながめたなり、すぎてしまえば、とりかえっこした牝牛は、よし手にもどることがあるにしても、あなたたちは、あいかわらず貧乏でくらさなければならない。だから、豆の木のはしごをのぼったのが、とりもなおさず、幸運のはしごをのぼったわけなのだよ。」 と、こう妖女は、いいきかせて、ジャックにも、ジャックのおかあさんにもわかれて、かえって行きました。

「ジャックと豆の木」楠山正雄(青空文庫)

名文

豆の木は、それこそほうずのしれないたかさに、空の上までものびていました。つると葉とがからみあって、それは、空の中をどんとつきぬけて、まるで豆の木のはしごのように、しっかりと立っていました。

牝牛と引き換えた豆が一晩で天まで伸びた朝の光景。ジャックの冒険はこの「豆の木のはしご」から始まる。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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