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金太郎(楠山正雄)のあらすじ・登場人物

まさかりかついで足柄山

  • 幻想
  • 冒険

楠山正雄 1921年(大正10年)

文字数
3,866字
読了目安
約8分
表記
新字新仮名
舞台
  • 神奈川県

この作品について

桃太郎・一寸法師とならぶ日本の代表的な昔話を、楠山正雄が子ども向けに語り直した一篇。相模国足柄山で山うばに育てられた怪力の子が、熊や猿や兎を家来にして遊び、やがて源頼光の家来・碓井貞光に見いだされて都へのぼり、坂田金時と名乗って頼光四天王の一人になるまでを描く。まさかりをかついで熊にまたがるおなじみの姿から、頼光四天王の坂田金時へとつながってゆく筋立てが、短い紙数にきれいに収められている。

あらすじ

相模国足柄山の山奥に、山うばの母と暮らす金太郎という子がいた。生まれつき力が強く、七つ八つで石臼や俵を軽々と持ち上げ、大人を相手の相撲にも負けない。相手がいなくなると森をかけまわり、母にもらった大きなまさかりで杉や松を切り倒しては木こりのまねをして遊んだ。ある日、森を荒らすなと襲いかかってきた熊を足がらにかけて投げ飛ばすと、熊は両手をついてあやまり、家来になる。こうして猿や兎や鹿までが家来に加わり、金太郎は山じゅうの大将となって相撲を取らせたり、倒した木を橋にして谷を渡ったりして日を送った。そこへ通りかかったのが、源頼光の家来で四天王の一人、碓井貞光である。大木を押し倒す金太郎を見て後をつけた貞光は、家で腕相撲を取り、その力に驚いて侍になるよう勧める。母は喜んで金太郎を託し、都へ送り出した。頼光の屋敷に連れて行かれた金太郎は、「金太郎という名は侍らしくない、父が坂田というなら坂田金時と名乗れ」と言われ、やがて渡辺綱・卜部季武・碓井貞光と並ぶ頼光四天王の一人となる。

登場人物

冒頭部(原文より)

一  むかし、金太郎という強い子供がありました。相模国足柄山の山奥に生まれて、おかあさんの山うばといっしょにくらしていました。  金太郎は生まれた時からそれはそれは力が強くって、もう七つ八つのころには、石臼やもみぬかの俵ぐらい、へいきで持ち上げました。大抵の大人を相手にすもうを取っても負けませんでした。近所にもう相手がなくなると、つまらなくなって金太郎は、一日森の中をかけまわりました。そしておかあさんにもらった大きなまさかりをかついで歩いて、やたらに大きな杉の木や松の木をきり倒しては、きこりのまねをしておもしろがっていました。

「金太郎」楠山正雄(青空文庫)

末尾部(原文より)

それから幾日も幾日もかかって、貞光は金太郎を連れて都へ帰りました。そして頼光のおやしきへ行って、 「足柄山の奥で、こんな子供を見つけてまいりました。」  と、金太郎を頼光のお目にかけました。 「ほう、これはめずらしい、強そうな子供だ。」  と頼光は言いながら、金太郎の頭をさすりました。 「だが金太郎という名は侍にはおかしい。父親が坂田というのなら、今から坂田金時と名乗るがいい。」  そこで金太郎は坂田金時と名乗って、頼光の家来になりました。そして大きくなると、えらいお侍になって、渡辺綱、卜部季武、碓井貞光といっしょに、頼光の四天王と呼ばれるようになりました。

「金太郎」楠山正雄(青空文庫)

名文

何だ、熊のくせに。金太郎を知らないか。

足柄山の森で大きな熊に出会った金太郎の一言。このあと熊を投げ飛ばして家来にする、怪力の子らしい啖呵だ。

原文を読む

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