犬と笛(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
笛の名手・髪長彦と三匹の犬の冒険
- 冒険
- 幻想
- 文字数
- 7,753字
- 読了目安
- 約16分
- 表記
- 新字新仮名
- 舞台
- 奈良県
この作品について
芥川竜之介が児童雑誌「赤い鳥」に発表した童話。大和国葛城山の麓に住む、女のようにやさしい若い木樵・髪長彦。笛の名手である彼が、山の神から授かった三匹の不思議な犬を連れて、さらわれた二人の姫を救い出す——素朴であたたかい、めでたい冒険譚である。
あらすじ
昔、大和国葛城山の麓に、髪長彦という若い木樵が住んでいた。顔かたちが女のようにやさしく、髪も女のように長いので、こう呼ばれていた。彼は笛が大そう上手で、その音を聞くと鳥も獣も草木もうっとりと聞き入るのだった。ある日、髪長彦は山の神から、「嗅げ」「飛べ」「噛め」という三匹の不思議な犬を授かる。この犬たちの力を借りて、髪長彦は、鬼にさらわれた飛鳥の大臣の二人の姫を救い出す冒険へと向かう。ところが、彼の手柄を横取りしようとたくらむ二人の若い侍が現れて——。素朴であたたかな童話。悪だくみは犬たちに見破られ、髪長彦は大臣の婿となる。ただし、二人の姫のどちらが嫁になったのかは、「昔の事で、今でははっきりとわかっておりません」と結ばれる。芥川が子供のために書いた、愛らしい冒険譚である。
登場人物
- 髪長彦 笛の名手の若い木樵
- 飛鳥の大臣 二人の姫の父
冒頭部(原文より)
昔、大和の国葛城山の麓に、髪長彦という若い木樵が住んでいました。これは顔かたちが女のようにやさしくって、その上髪までも女のように長かったものですから、こういう名前をつけられていたのです。 髪長彦は、大そう笛が上手でしたから、山へ木を伐りに行く時でも、仕事の合い間合い間には、腰にさしている笛を出して、独りでその音を楽しんでいました。
「犬と笛」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
それから先の事は、別に御話しするまでもありますまい。髪長彦は沢山御褒美を頂いた上に、飛鳥の大臣様の御婿様になりましたし、二人の若い侍たちは、三匹の犬に追いまわされて、ほうほう御館の外へ逃げ出してしまいました。ただ、どちらの御姫様が、髪長彦の御嫁さんになりましたか、それだけは何分昔の事で、今でははっきりとわかっておりません。
「犬と笛」芥川龍之介(青空文庫)
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