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澄江堂雑記(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

三十二の断章で語る芥川の文芸観

芥川龍之介 

文字数
15,929字
読了目安
約32分
表記
新字旧仮名
種別
随筆

この作品について

芥川龍之介の随筆。大正7年から13年にかけて書かれた、芸術・文壇・社会・日常をめぐる三十二の断章を収める。大雅の画が欲しいという話に始まり、自作「将軍」の検閲、芸術至上主義、俊寛の解釈、漢字と仮名、関東大震災後のチャップリン、「昔」を題材にする理由などが並ぶ。澄江堂は芥川の号。短い文章に、皮肉と機知が光る。

あらすじ

「大雅の画」「にきび」「将軍」「毛生え薬」「芸術至上主義」など、題を付けた短文三十二篇の集成。作家としての身辺の述懐、官憲による検閲への皮肉、文芸と階級問題の関係、フローベールの芸術観を語る。近松や倉田百三・菊池寛の戯曲と比べながら、自作の「俊寛」の解釈も説明する。ほかにも、漢字と仮名の形の美醜、希臘末期の人の思想、比喩、告白小説への疑問、チャップリンと社会主義者、「とても」の語法、丈草や徳川末期の文芸などを取り上げる。結びの「昔」では、昔話の「昔々」と同じ必要から、異常な事件を自然に書くために昔を舞台にするのだと、歴史小説との違いを述べる。

冒頭部(原文より)

一 大雅の画  僕は日頃大雅の画を欲しいと思つてゐる。しかしそれは大雅でさへあれば、金を惜まないと云ふのではない。まあせいぜい五十円位の大雅を一幅得たいのである。  大雅は偉い画描きである。昔、高久靄崖は一文無しの窮境にあつても、一幅の大雅だけは手離さなかつた。ああ云ふ英霊漢の筆に成つた画は、何百円と雖も高い事はない。それを五十円に値切りたいのは、僕に余財のない悲しさである。

「澄江堂雑記」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

しかし単に「浅薄」の名のもとに彼等の作品を一笑し去るのは彼等の為に気の毒であらう。若し彼等の「常談」としたものを「真面目」と考へて見るとすれば、黄表紙や洒落本もその中には幾多の問題を含んでゐる。僕等は彼等の作品に随喜する人人にも賛成出来ない。けれども亦彼等の作品を一笑してしまふ人人にもやはり軽軽に賛成出来ない。

「澄江堂雑記」芥川龍之介(青空文庫)

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