尼提(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
避けても出会う釈迦如来
- 心理
- 文字数
- 2,156字
- 読了目安
- 約4分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
釈迦如来と、除糞人の尼提との出会いを描いた短編。舎衛城の糞尿を集める最も貧しい男が、どの路へ曲がっても釈迦に出会ってしまう。経文に伝わる尼提の入信の話を、軽い笑いを交えて語る。
あらすじ
舎衛城で除糞人を務める尼提は、糞尿を背負って歩く途中、向こうから来る釈迦如来に気づき、恐れ多くて別の路へ曲がる。しかしどの路へ曲がっても、如来が先に歩いて来る。七度目に曲がったのは行き止まりの袋路で、尼提は糞汁の中にひざまずき、通してほしいと頼む。如来は出家を勧め、尼提は賤しい身だと辞退するが、如来は仏法が貴賤を分けないと諭す。半月後、頭を剃った尼提は祇園精舎で給孤独長者に出会い、悪かったのは、どの路にもお出になった如来のほうだと返す。しかし尼提は経文によれば、一心に聴法を続け、ついに初果を得たという。
登場人物
- 尼提 舎衛城の除糞人
- 釈迦如来 尼提を出家に導く
- 給孤独長者 祇園精舎を寄進した長者
冒頭部(原文より)
舎衛城は人口の多い都である。が、城の面積は人口の多い割に広くはない。従ってまた厠溷も多くはない。城中の人々はそのためにたいていはわざわざ城外へ出、大小便をすることに定めている。ただ波羅門や刹帝利だけは便器の中に用を足し、特に足を労することをしない。しかしこの便器の中の糞尿もどうにか始末をつけなければならぬ。その始末をつけるのが除糞人と呼ばれる人々である。
「尼提」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
尼提はこう言う長者の言葉にいよいよ慇懃に返事をした。 「長者よ。それはわたくしが悪かった訣ではございませぬ。ただどの路へ曲っても、必ずその路へお出になった如来がお悪かったのでございまする。」 しかし尼提は経文によれば、一心に聴法をつづけた後、ついに初果を得たと言うことである。
「尼提」芥川龍之介(青空文庫)
原文を読む
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