マリヴロンと少女(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
丘で出会った歌手と少女
- 幻想
- 心理
- 文字数
- 2,238字
- 読了目安
- 約4分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
宮沢賢治の短編童話。丘の上で、アフリカへ行く牧師の娘ギルダが、歌手マリヴロン女史に声をかける。尊敬と、役に立ちたいという願いを語るギルダに、女史は、正しく清く働く人は時間のうしろに一つの大きな芸術をつくると答える。「めくらぶどうと虹」と同じ場面をもつ作品。
あらすじ
城あとの丘のぶどうのやぶのそばで、一人の少女が楽譜を持ってため息をついている。今夜市庁のホールで歌うマリヴロン女史が、人々を逃れてここへ来る。やがて東の空に大きな虹が現れ、少女は化石のようにすわってしまう。少女ギルダは、あすアフリカへ行く牧師の娘で、先生に尊敬を受けてほしいと声をふるわせる。マリヴロンは、あなたこそ立派な仕事をするでしょう、正しく清くはたらく人は時間のうしろに一つの大きな芸術をつくると言い、空を飛ぶ鳥にもあとがあるのだと語る。ギルダは、連れて行って教えてほしいと願うが、マリヴロンは、いつでもあなたの考えるそこにいると言って、もう帰らなければと告げる。もずが飛びたち、停車場の笛が鳴り、マリヴロンはかすかに笑ったともとまどったともつかぬ顔を見せる。あたりはくらくなり、ひばりが調子はずれの歌をうたう。
登場人物
- ギルダ あすアフリカへ行く牧師の娘。楽譜を持った少女
- マリヴロン 今夜市庁のホールで歌う女史
冒頭部(原文より)
城あとのおおばこの実は結び、赤つめ草の花は枯れて焦茶色になって、畑の粟は刈りとられ、畑のすみから一寸顔を出した野鼠はびっくりしたように又急いで穴の中へひっこむ。 崖やほりには、まばゆい銀のすすきの穂が、いちめん風に波立っている。 その城あとのまん中の、小さな四っ角山の上に、めくらぶどうのやぶがあってその実がすっかり熟している。
「マリヴロンと少女」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
うつくしくけだかいマリヴロンはかすかにわらったようにも見えた。また当惑してかしらをふったようにも見えた。 そしてあたりはくらくなり空だけ銀の光を増せば、あんまり、もずがやかましいので、しまいのひばりも仕方なく、もいちど空へのぼって行って、少うしばかり調子はずれの歌をうたった。
「マリヴロンと少女」宮沢賢治(青空文庫)
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