インドラの網(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
天の網がひろがる夜明け
- 幻想
- 文字数
- 3,710字
- 読了目安
- 約7分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
宮沢賢治の短編童話。倒れていた「私」が、ツェラ高原を歩くうちに天上の世界へまぎれ込み、天人や天の子供らを見る。夜明けの高原の光や鉱物のイメージが、鮮やかな語で連ねられる。図書カードでは、天上の世界を題材にした短編寓話の一つとされている。
あらすじ
疲れ果てて草穂と風の底に倒れていた「私」は、ひとり暗いツェラ高原を歩いて行く。鳥も獣もいない冷たい高原で、白い石英の砂の湖にたどりつくうち、夜は澄みきって、空には銀河と宝石のような星々が現れた。やがて「私」は天の空間を飛ぶ天人を見る。いったんは消えたその世界を再び感じながら立っていると、水際に三人の天の子供らがいて、日の出を待っていた。それは、「私」が砂の中から掘り出した于大寺の壁画の子供らだった。挨拶をかわして一緒に日の出を拝むと、子供らは夢中で湖の岸をかけまわり、空にはインドラの網や風の太鼓、蒼孔雀が現れる。しかし、気がつくと子供らの姿はなく、「私」は草穂と風の中に倒れている自分を思い出していた。
登場人物
- 私 青木晃。于大寺を掘り出した人物。ツェラ高原で天の世界に迷い込む
- 天の子供ら 于大寺の壁画の中の三人の子供
冒頭部(原文より)
そのとき私は大へんひどく疲れていてたしか風と草穂との底に倒れていたのだとおもいます。 その秋風の昏倒の中で私は私の錫いろの影法師にずいぶん馬鹿ていねいな別れの挨拶をやっていました。 そしてただひとり暗いこけももの敷物を踏んでツェラ高原をあるいて行きました。
「インドラの網」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
そして私は本統にもうその三人の天の子供らを見ませんでした。 却って私は草穂と風の中に白く倒れている私のかたちをぼんやり思い出しました。
「インドラの網」宮沢賢治(青空文庫)
名文
いまはすっかり青ぞらに変ったその天頂から四方の青白い天末までいちめんはられたインドラのスペクトル製の網、その繊維は蜘蛛のより細く、その組織は菌糸より緻密に、透明清澄で黄金でまた青く幾億互に交錯し光って顫えて燃えました。
題名の「インドラの網」が空いっぱいに現れる場面。鉱物や菌糸にたとえた細密な描写で、天の世界の荘厳を描き出す。
原文を読む
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