あし(新美南吉)のあらすじ・登場人物
ぼくの足を、だれかがぬすんだ
- 風刺
- 幻想
- 文字数
- 868字
- 読了目安
- 約2分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
昼寝から覚めた馬の後足が、一本しびれていた。「だれかにぬすまれてしまった」と思いこんだ馬が、椅子やテーブルの足を片端から蹴とばしてまわる——新美南吉の、笑い話のように短い童話。
あらすじ
二ひきの馬が窓のところでぐうるぐうると昼寝をしていた。涼しい風にくしゃみをして目を覚ました一ぴきは、後足が一本しびれていて、よろよろとよろけてしまう。力を入れようとしてもさっぱり入らない。「たいへんだ、あとあしをいっぽん、だれかにぬすまれてしまった」——友だちの馬に「ちゃんとついてるじゃないか」と言われても、思うままに歩かないのだからこれは自分の足ではない、と譲らない。ためしに蹴とばしてもらっても痛くないので、いよいよ確信を深めた馬は、盗まれた足を探しに歩き出す。椅子の足を蹴り、テーブルの足を蹴り、ベッドの足を蹴り——痛いとも言わずにどれも壊れてしまうばかり。ならば犯人はあいつだと思いこんだ馬は、友だちのところへ戻り、すきをみてその後足をぽォんと蹴とばした。とびあがった友だちが力いっぱい蹴りかえすと、しびれのなおっていた馬もまた「いたいッ」ととびあがり、そこでようやく事の次第がわかる。理屈がひとつ食い違ったまま突き進む可笑しさを、南吉がひらがなの文でさらりと書いた小品である。
冒頭部(原文より)
二ひきの馬が、まどのところでぐうるぐうるとひるねをしていました。 すると、すずしい風がでてきたので、一ぴきがくしゃめをしてめをさましました。 ところが、あとあしがいっぽんしびれていたので、よろよろとよろけてしまいました。 「おやおや。」 そのあしに力をいれようとしても、さっぱりはいりません。
「あし」新美南吉(青空文庫)
末尾部(原文より)
「このとんまめが。」 ともだちの馬は力いっぱいけかえしました。 しびれがもうなおっていたので、その馬も、 「いたいッ。」 と、とびあがりました。 そして、やっとのことで、じぶんのあしはぬすまれたのではなく、しびれていたのだとわかりました。
「あし」新美南吉(青空文庫)
原文を読む
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