ひのきとひなげし(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
スターになりたいひなげしたち
- 幻想
- 風刺
- 文字数
- 4,269字
- 読了目安
- 約9分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
宮沢賢治の短編童話。夕暮れの花壇で、スターになりたがるひなげしたちと、それを見守る若いひのきの会話を描く。悪魔の医者にだまされかけたひなげしを、ひのきが星の話で諭す。作中には「オールスターキャスト」という言葉遊びも出てくる。
あらすじ
夕方、風に揺れるひなげしたちは、赤い帆船のようだというひのきの言葉に反発しつつ、いちばん小さなひなげしが「一度女王にしてくれたら、あしたは死んでもいい」とつぶやく。そこへ、小さな蛙に化けた悪魔が、美しいばらの娘を連れ、美容院を探すふりをして現れる。女王のテクラが助けを求めると、悪魔は今度は医者に化けてやって来て、薬は一人五ビルと言い、金のないひなげしたちは、やがてできる亜片をすべて差し出す証文に応じてしまう。呪文で赤や黄の光を吸わせはじめたとき、ひのきが「ここはセントジョバンニ様の庭だ」と叫び、悪魔は逃げ去る。ひなげしたちは怒るが、ひのきは、スターとは本当は星のことで、あめなる花を星と言い、この世の星を花というのだと語る。夜になり、空に星が出る。
登場人物
- ひなげし スターになりたがる花。テクラは女王
- ひのき 花壇のはずれに立つ若い木
- 悪魔 蛙や医者に化けてひなげしをだます
冒頭部(原文より)
ひなげしはみんなまっ赤に燃えあがり、めいめい風にぐらぐらゆれて、息もつけないようでした。そのひなげしのうしろの方で、やっぱり風に髪もからだも、いちめんもまれて立ちながら若いひのきが云いました。 「おまえたちはみんなまっ赤な帆船でね、いまがあらしのとこなんだ」
「ひのきとひなげし」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
ひなげしは、みな、しいんとして居りました。 ひのきは、まただまって、夕がたのそらを仰ぎました。 西のそらは今はかがやきを納め、東の雲の峯はだんだん崩れて、そこからもう銀いろの一つ星もまたたき出しました。
「ひのきとひなげし」宮沢賢治(青空文庫)
名文
スターというのはな、本当は天井のお星さまのことなんだ。
スターになりたいと騒ぐひなげしたちに、若いひのきが説いて聞かせる言葉。憧れの言葉の本当の意味へ目を向けさせる一節。
原文を読む
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