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画の裡(泉鏡花)のあらすじ・登場人物

絵の中へ客を誘う旅の画師

  • 幻想
  • 風刺

泉鏡花 1910年(明治43年)12月

文字数
2,421字
読了目安
約5分
表記
旧字旧仮名
種別
小説

この作品について

1910年(明治43年)12月の日付をもつ短編。唐土の田舎大尽・徐羣夫の屋敷を舞台に、旅の画師が絹地に描いた御殿の絵の中へ客を案内する、ユーモラスな怪異譚。漢文の原典を引くような文句を挟みながら、軽妙な調子で語られる。

あらすじ

徐羣夫という田舎大尽が、客を集めて宴会を開いている。そこへ旅の画師が絵を見てもらいたいと訪ねてくる。徐は取り巻きの客とともに、貧しげな画師を嘲って呼び入れるが、広げられた絹地の大幅には、重なる楼閣の極彩色が描かれていた。徐が「閉じた門ではどこにも入れない」とからかうと、画師は自分の描いた門は自由に開閉できると言って、絵の門をくぐって姿を消す。次に出てきた画師に案内され、徐と客たちは絵の中に入り、紅葉の庭、水に浮かぶ鴛鴦、瑪瑙の八つ橋、伽藍、滝、青田の景色を見て歩く。最後に画師が開けた美しい扉は、徐の若い妻の寝室だった。昼寝をしていた妻の姿を一同が目にして飛び出すと、一行は元の広間に戻っていた。怒った徐が刀を抜くと、画師はまた絵の中に入り、柳の下の潜り門から顔を出して「さようなら」と笑う。徐が妻の寝室へ駆け込むと、妻は顔を赤らめて帯を巻いているところで、画師も絵も消えており、残るのは芋茎の酢和えだけだった。

登場人物

冒頭部(原文より)

「旦那樣、畫師ぢやげにござりまして、ちよつくら、はあ、お目に懸りたいと申しますでござります。」 旦那は徐羣夫と云ふ田舍大盡。忘其郡邑矣、とあるから何處のものとも知れぬが、案ずるに金丸商店仕入れの弗箱を背負つて、傲然と控へる人體。

「画の裡」泉鏡花(青空文庫)

末尾部(原文より)

 徐大盡、赫と成り、床の間に、これも自慢の、贋物らしい白鞘を、うんと拔いて、ふら/\と突懸る、と、畫師又身を飜して、畫の中へ、ふいと入り、柳の下の潛り門から、男振りの佳い顏を出して、莞爾として、「然やうなら。」 妻の皓體が氣懸りさに、大盡ましぐらに奧の室へ駈込むと、漸と颯と赤く成つて、扱帶を捲いて居る處。物狂はしく取つて返せば、畫師も其の畫も何處へやら。

「画の裡」泉鏡花(青空文庫)

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