二、三羽――十二、三羽(泉鏡花)のあらすじ・登場人物
庭の雀を見つめて
- 文字数
- 14,546字
- 読了目安
- 約29分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
- 舞台
- 東京都
この作品について
自宅の庭に集まる雀を長年見つめてきた鏡花が、親雀と仔雀の情、群れの数、臆病さ、そして不思議な出来事を綴った随筆。関東大震災(本文に言及あり)の前後の暮らしが背景にある。岩波文庫『鏡花短篇集』に収められる。小鳥へのまなざしの優しさと、幻想的な挿話が同居する。
あらすじ
語り手は、亡くなった祖母が雀をかわいがっていたことを思い出しながら、土手三番町に住んでいた頃、妻が捕まえた仔雀を、笊で伏せて親雀に餌を与えさせようとした話をする。親雀が必死に鳴き寄る様子に心を打たれ、笊を外して放した。以来、毎日お飯粒を庭に撒いている。雀の数は十二三羽にしか増えないこと、親が子を巣立たせる様子、物干しでの騒ぎ、見慣れない月見草や卯の花に怯える臆病さなどが語られる。雪の日には、寒椿に来た目白に導かれて雀が餌を食べた。ある夏の日、ごんごんごまを探して歩いた語り手は、崖下の家に招かれ、裸になって着物を繕ってもらうという奇妙な体験をする。その家は九月の大地震で焼け野原になっていた。
冒頭部(原文より)
引越しをするごとに、「雀はどうしたろう。」もう八十幾つで、耳が遠かった。――その耳を熟と澄ますようにして、目をうっとりと空を視めて、火桶にちょこんと小さくいて、「雀はどうしたろうの。」引越しをするごとに、祖母のそう呟いたことを覚えている。「祖母さん、一所に越して来ますよ。」当てずッぽに気安めを言うと、「おお、そうかの。」と目皺を深く、ほくほくと頷いた。
「二、三羽――十二、三羽」泉鏡花(青空文庫)
末尾部(原文より)
「どうだい、雀。」 知らぬ顔して、何にも言わないで、南天燭の葉に日の当る、小庭に、雀はちょん、ちょんと遊んでいる。
「二、三羽――十二、三羽」泉鏡花(青空文庫)
原文を読む
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